十二因縁を断ち切るための鍵となる環はどこにあるのか？

十二因縁は三世に通じ、無明・行・識は前世の支分、名色・六入・触・受・愛・取は現世の支分、有・生・老死は来世の支分である。この理を思惟するには順逆二種の方法があり、順に十二因縁を観れば、無明より起こる行によって六識身口意の業が生じ、来世の五蘊における生老病死苦を招くことが分かる。逆に十二因縁を観るには二つの分派があり、一つは名色を遡って前世の六識が造った業行より生じたことを明らかにし、さらに意根の無明に至る。もう一つの分派は名色を遡って生死の源である阿頼耶識に至る。

第一の分派における逆観は老死より始めて順に生・有・取・愛・受・触・六入・名色・六識・行・無明を遡る。現世において生死を断つ要所はどこか。取・愛・受・触の四つの環にある。名色と六入は現世において用いざるを得ず、これを滅することは自殺によるほかないが、たとえ自殺しても来世の生老病死は免れない。六識の業行は前世の種子であり、懺悔しても名色五蘊を滅することはできぬ。故に来世の解脱を求めるには触・受・愛・取の四つの環に修行の重点を置かねばならない。後の三つの環は触より流転し、直接間接に触を縁として生ずる故に、触は極めて重要な環である。

触とは六根が六塵に触れること、即ち内六入が外六入に触れることを指す。その後六識が生じて了別し、受が生じ、貪瞋が現れ、六塵境界への執取が起こる。これらの業行は現世と来世の生老病死苦を招く。六塵への触を避けるには、意根の攀縁性を減じ滅する必要がある。意根が六塵に攀縁しなければ触を好まず、触しなければ後の縁起は生じず、心は清浄となる。故に要は意根にある。意根が六塵に攀縁せぬよう、一つには禅定を修め、二つには理を明らかにし、六塵境界の無常と生滅性を観ずれば、意根は六塵に興味を失い、自然に攀縁が減り触する機会と時間が減じ、次第に心が清浄となる。心清浄ならば受なく、受なければ愛なく、愛なければ取らぬ。

衆生は無始劫来、六根が六塵に触れる習気を有し、これを悉く伏滅することは難しい。時に生存の必要に迫られ触れざるを得ず、或いは受動的に触れる。一旦触れた後は、受を減じ或いは受ぬること。触れても心なければ受なく、受なければ愛せず、愛せずば取らぬ。少受または無受を成すには禅定と観行の智慧が必要で、心が空となり相を離れ、境界を受けず、心清浄ならば境界に執着せぬ。

境界を受けぬことが困難な場合、感受する際に貪瞋を生ぜず、受の無常と虚妄を思惟し、境界の生滅と無常を観ずれば、心は降伏し貪瞋は減ずる。愛と受は密接に連なり、受する際に貪愛を生ぜぬことは難しい。この時禅定が必要で、定力強くして愛を伏せ、遂には断ずる。愛を断ずるには初禅以上の禅定を要する。一切の修行において禅定を離れず、禅定浅ければ煩悩を伏せず、まして断じえず、解脱の望みなし。

愛を伏せる環に失敗すれば、愛するものを取着することは避け難く、取らぬことは極めて困難である。取が滅するのは三果円満の時で、四果に至れば取着せず、一瞬の取は避け難くとも、瞬時に智慧をもって断ずる。この現象が続くなら解脱の堅固ならざる阿羅漢であり、臨終無余涅槃の前不断に加行をなすことにより、瞬時に滅度涅槃を成す。

総じて触・受・愛・取の四環は全て重要で、前の環を伏断して初めて後の環が生じぬ。故に解脱の要は触にある。一切の修行において環境は重要で、諸仏菩薩の修行は皆静寂で人里離れた場所にて行われ、触れる縁少なければ功夫の進展速く、成道も速やかである。我々の修行も縁に随いつつ、静修の因縁を多く作り触れる縁を減らすべし。賑やかな場所では道業を成就できぬ。