(三十七)原文:問。何の因縁の故に、縁起を依止して七十七智を建立するや。答。因ある雑染の智を顕わさんが為なり。また自相続において自らが作したる雑染の智を顕わさんが為なり。また前際の諸支が無始の時なるを顕わさんが為なり。また後際の諸支に雑染を容れ、還滅の義あるを顕わさんが為なり。また支に摂せられざる諸の有漏の慧が遍知の義あるを顕わさんが為なり。一一の支に各々七智を作す。当に知るべし、総て七十七智あるを。
釈:問う、いかなる因縁によって縁起支に依って七十七智が建立されたのか。答えて曰く、三界の存在が雑染の智によることを示すためである。また自己の五陰身が相続して運行する過程において、自らが作り出した雑染の智を明らかにするためである。また十二支中の前際の諸支に始めのないこと(無明支が無始劫以前より存在し、後天的に生じたものではない)を示すためである。また後際の諸支が雑染を含みつつ還滅へ向かう理を顕わすためである。また諸支に摂されない一切の有漏の慧が遍く法を知る理を明示するためである。無明支を除く十一支が各々七智に対応し、合わせて七十七智となる。
原文:問。何の因縁の故に、縁起の中に四十四智を建立するや。答。一一の支に四聖諦を依りて道理を観察することを顕わさんが為なり。是の故に総て四十四智あるを。
釈:問う、いかなる因縁によって縁起法に四十四種の智慧が建立されたのか。答えて曰く、十一支分が四聖諦に基づいて修道の理を観察することを示すためである。各支ごとに苦・集・滅・道の四諦を観じ(例えば行の苦集滅道、六識の苦集滅道、名色の苦集滅道等)、合わせて四十四種の観察智を成す。
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