(三十五)原文:問。何の因縁をもって、縁起支は自ら作ったものにあらず、他作にもあらず、俱作にもあらず、また無因から生じたものでもないと説くのでしょうか。答。生ずるものは存在しないが故に、縁には作用がなくが故に、縁の力によって生じたが故に。
釈:問:いかなる因縁によって、縁起支は縁起法本体が作ったものではなく、縁起法外の他縁が作ったのでもなく、縁起法自体と他縁の共同作でもなく、何の因縁もなく生じたものでもないと言うのですか。答:縁起法の生は無の法であり、空の法であって実在せず、縁起法を生じさせる縁にも真実の作用はなく、全ては因縁力によって引き起こされたものです。
原文:問。縁起の中で、いずれが苦の芽か。誰が苦の芽を養護するか。いずれが苦の樹か。答。無明行の縁によって引き出された識、乃至受は苦の芽なり。受の縁によって引き出された愛、乃至有は苦の芽を養護するものなり。生と老死は苦の樹と知るべきなり。
釈:問:縁起法においてどの支分が苦の芽ですか。どの支分が苦の芽を守り育てますか。どの支分が苦の樹ですか。答:無明と行の因縁によって生じた識支、および名色・六入・触・受支は苦の芽であり、受によって生じた愛・取・有支は苦の芽を守り育て、生と老死は苦の樹であると知るべきです。
原文:問。幾つの縁起支が灯心の如しと知るべきか。答。識乃至受なり。問。幾つの支が油の如しか。答。無明・行・愛・取・有なり。問。幾つの支が炎の如しか。答。生老死と知るべきなり。
釈:問:いくつの縁起支が灯心のようですか。答:識・名色・六入・触・受支は灯心のようであり、油を注げば燃え上がり生死の煎熬が現れます。問:いくつの支が灯油のようですか。答:無明・行・愛・取・有支は灯油のようであり、識・名色・六入・触・受と和合すれば灯心に火を点し、生死の大火を燃やします。問:いくつの支が炎のようですか。答:生と老死支は炎のように燃え、苦悩は量り知れません。
原文:問。いかなる因縁によって、縁起の黒品教において増益と説くのか。答。一切の有支は純粋なる大苦聚が後の果となるが故に。また諸々の有支は前の前が縁となり、後の後に従うが故に。問。いかなる因縁によって、白品教において損減と説くのか。答。一切の支が前の前を永く断てば、後の後が減ずるが故に。またこれが純粋なる大苦聚の損減因となるが故に。
釈:問:いかなる理由で縁起法の黒品教門において、縁起法が苦聚を増益すると説くのですか。答:一切の有支において、純大苦聚が十二支分の最終結果であるため、十二支縁起法は染汚業であり黒品類であって苦聚を増益します。また十二有支において、前の有支が因縁となり後の有支が従うことで純大苦聚が生じるためです。問:いかなる理由で善法品類の教門において、縁起法が苦聚を損減すると説くのですか。答:十二縁起支において前の支分を断滅すれば後の支分が減ずるため、縁起支は苦聚を損減する作用があるからです。
原文:問。幾つの縁起支を有因法と名づくべきか。答。前七支なり。問。幾つの縁起支を有因苦と名づくべきか。答。残り五支なり。問。幾つの支の滅は漏尽によって顕れるか。答。三支なり。
釈:問:いくつの縁起支が因を持つ法として他法を生じさせますか。答:前七支(無明・行・識・名色・六入・触・受)が因となり後の支分を生じさせます。問:いくつの縁起支が因を持つ苦支ですか。答:後の五支(愛・取・有・生・老死)が前因を持つ苦支です。問:いくつの支の滅は無明漏尽によって示されますか。答:三支(無明・愛・取)が無明煩悩の漏尽によって示され、有余涅槃位にあります。
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