父子合集経講話（一三一）

一切の諸法はことごとく空寂である

諸根は眼・耳・鼻・舌・身・意の六根を含む。この六根は幻化の如く、如来蔵より現じ出でたるものなり、これを如幻と称す。境界は夢の如し。眼に見る色境界、耳に聞く声境界、鼻に嗅ぐ香臭境界、舌に味わう甘酸辛苦の境界、身に覚える疲労・軽安・柔軟・快適・飢餓・飽満等の境界、意根の対する法塵境界。これらの境界は一見存在するが如く見ゆれど、その存在は仮の有り・幻の有りにして真実ならず、恰も夢中の境界の如し。

仏は遍く我らに一つの真理を開示せり：一切の諸法はことごとく空寂なり。即ち一切の法は空にして寂静なることを意味す。何故かく説くや。一切の法はさまざまな因縁の集合によって存在するが故に、本来自体性なく、真実に存在する法にあらざるがゆえに、空寂と説く。別の面より観れば、一切の法は阿頼耶識の現じ出だすところ、阿頼耶識に由って主導され、阿頼耶識の影にして、その実質は阿頼耶識にあり。一切の法は存在せず、故に一切の法はことごとく空寂なりと説く。小乗の空、大乗の空性、皆この真理真実を指し示す。