父子合集経講義（第128講）

なぜ一切の法には来るところも去るところもないのでしょうか。

原文：大王よ、この世から他世へ至るわずかな法も存在しません。なぜなら、その性質が生滅するがゆえです。大王よ、身識が生じる時、どこからも来ることなく、滅する時どこへも去りません。業が生じる時もどこからも来ず、滅する時どこへも去りません。初識が生じる時もどこからも来ず、滅する時どこへも去りません。なぜなら、自性が離れているからです。このように了知すべきです。身識は身識として空、自業は自業として空、初識は初識として空。滅するものは滅として空、生じるものは生として空。業の転変を了知し、作る者もなく受ける者もなく、ただ名相による分別の顕現に過ぎないことを。

釈：仏は説かれた。大王よ、いかなる法もこの世から来世へ流転することはない。なぜなら一切の法の自性は生滅を繰り返し、常住不変ではないからである。臨終に五陰が滅する時、一切の法はことごとく滅する。身識が生起する時には来処がなく、滅する時には去処がない。業を造作する時も来処がなく、滅する時も去処がない。来世の初識が生起する時も来処がなく、滅する時も去処がない。

なぜ一切の法に来処も去処もないのか。一切の法は一切の性を離れ、一切の法の自性には一切の相がなく、自体が空であり、了不可得であるからである。このように身識を了知し、身識の自性空を了知すべきである。このように自らの識心が造作する業行を了知し、業行の自性空を了知すべきである。このように初識を了知し、初識の自性空を了知すべきである。このように一切の法が生じればその生は空であり、滅すればその滅は空であることを了知すべきである。同時に業行の造作と流転には作者もなく受者もなく、一切の法はただ仮相と名相による分別と顕現に過ぎないことを了知すべきである。

一切の法は一切の法性を離れ、一法として真実の自體性を持つものはなく、独存し得ない。このようにわが身識が空であることを知り、わが業行も空であることを知り、来世に生じる初識も空であることを知るべきである。識が滅すれば滅法も空であり、識が生じれば生法も空である。業行の流転と造作も空であり、造作する者もなく、果報を受ける者もない。これらはすべて仮相であり、不実の幻化相に過ぎず、ただ名相によって分別され顕現する虚妄相なのである。