十種の悪業の果報は臨終の時、全て現前する
原文:仏は王に言われた。「その通りである。愚かな凡夫は悪しき言葉を聞いて憂い悩みを生じ、瞋心を起こして瞋業を造る。所謂、身による三種、語による四種、意による三種の業である。その業を造り終えた後、刹那に滅び去る。この業が滅び去っても、東西南北・四維上下の何方にも依らず、中間にも留まらない。最後の際、命根が滅する時、自らが造った業報が全て現前する。恰も夢から覚めて夢中の事を思い出すが如し」
釈:仏は言われた。大王、まことにその通りです。愚かな凡夫は悪しき声を聞いて心に憂い悩みを生じ、瞋心が起こると瞋業を造ります。これらの業は身口意に反映され、身業三種、語業四種、意業三種となります。これらの業を造り終えると、刹那の間に滅び去ります。業が滅び去った後も、東西南北四維上下に依って留まることはありません。寿命が尽きようとする最後の時、自らが造った業の果報が全て現前します。それは丁度夢から覚めて夢の中の事を思い出すようなものです。
衆生が業を造る時、誰にも知られていないと思い込んでいますが、実は人を欺くことはできません。そうでなければ果報など存在しないのです。まず自らの心が知り、記録しています。周囲の鬼神も全て知っており、閻魔大王の元にも記録があります。仏菩薩や護法神も全てご存知で、当時神通力を有する衆生も知っています。後日神通力を得た衆生に出会えば、また知られることになります。一旦業を造れば、それは一つの記録となり、仏に成るまで永久に消えることはありません。報いを受けて業種が消えても記録は消えず、全て神通力を有する衆生が参照できるのです。
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