(二十二)原文:問。若し受を縁と為すは、皆く愛なるや。設い是れ愛なる者は、皆く受を縁と為すや。答ふ。四句に作すべし。或いは是れ愛にして受を縁と為さず。謂はく、勝れたる解脱を希求し、及び善愛に依りて余の愛を捨つるなり。或いは受を縁と為すも而も是れ愛に非ず。謂はく、無明の触の生ぜしむる所の受を縁と為すを除き、余の有支の法の生ずるなり。或いは受を縁と為し亦是れ愛なり。謂はく、無明の触の生ぜしむる所の受を縁として、染汚の愛生ず。是の如き相を除くは第四句なり。
釈:もし受を縁として生じた法は、全て愛に属するか。もし全て愛であるならば、全て受を縁とするか。答:この問題は四句に分けて答えるべきである。第一に、受を縁とせずに生じる愛がある。例えば殊勝なる解脱を希求すること、及び善法への愛に依って他の愛を捨てる場合である。
第二に、受を縁として生じるが愛に属さない法がある。無明の触から生じた受を縁とする場合を除き、その他の有支の法が生じる場合、例えば無明の触を縁とする受や無漏の触を縁とする受から生じる法は、愛に属さない。
第三に、受を縁として生じ、かつ愛に属する法がある。無明の触から生じた受を縁として、染汚の愛が生じる場合である。以上の相を除くものは第四句に属する。
原文:問。若し愛を縁と為すは、皆く取なるや。設い是れ取なる者は、皆く愛を縁と為すや。答ふ。此の中は順後句なることを知るべし。謂はく、所有の取は皆く愛を縁と為す。或いは愛を縁と為すも而も是れ取に非ず。謂はく、取を除く余の有支及び善愛を縁として勤精進等の諸善法の生ずるなり。
釈:問:愛を縁として生じる法は全て取支に属するか。これらの法が全て取であるなら、全て愛を縁とするか。答:この問題は順後句(後半の設問を承ける形式)で答える。即ち、全ての取は愛を縁として生じる。或いは愛を縁とする法であっても取ではない場合がある。例えば取以外の有支、及び善愛を縁として生じる精進努力等の諸善法である。
全ての取は愛を縁とするが、愛を縁とする法が全て取ではない。有・生・老死等の支分も愛を縁として生じ、愛が断たれればこれらの支分は現れない。愛は取の直接の縁であり、他の支分の間接的な縁である。
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