五蘊世間の一切の法、一切の業行は生滅して虚妄である
五蘊世間の一切の法は全て生滅するものである。識心は生滅し、色身は生滅し、識心と色身が造作する一切の業行も同様に生滅する。これらの法は全て空である。種子は刹那に生じ、また刹那に滅する。色身と識心は刹那に生滅し、幻化して実体がない。特に臨命終時には全てが消滅し、刹那の生滅という現象すら消失する。これが五蘊の虚妄性を更に示しており、後世に持ち越せる法は一つも存在しない。
一切の業行の造作には、造作者というものは存在しない。なぜなら識心は自主性を持たず幻化したものであり、色身も幻化して自主性を有さない。身心共に幻の如き存在であるため、幻の如き身心は業行を造作し得ない。一切の業行の流転にも、報いを受ける主体は存在しない。識心は幻化し空であり自性を持たぬ故に受報の主体ではなく、色身も幻化し空で自性なき故に受報の主ではない。一切の色法は相であり、一切の識心は名であって、実体は存在せず、ただ識心によって分別され顕現した仮相に過ぎない。
世間の財・色・名・食・睡も同様に自性空で幻化し得難い。今世に生を受ける際、前世の名声を持ち越すことはない。前世で国王や大臣であったとしても、今世においてその地位や権勢は一切引き継がれない。前世の家族・眷属・財産は何一つとして持ち越されず、今世では再び財・色・名・食・睡を求めて奮闘せねばならない。今世が滅する時、一生をかけて蓄積した財・色・名・食・睡や家族眷属等の一切は消失し、来世へ持ち越せるものは何一つない。五蘊と識心すらも来世へ流転することはなく、作主識である意根を除き全てが消滅し尽きるのである。
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