いかに意根の遍計所執性を観察し降伏するか

意根の遍計所執性とは、一切の法を普遍的に計らい執着し、絶え間なく一切の法に攀縁し、第八識が縁取する第八識の変現する一切の法に依拠して、刹那刹那に了知する状態にあって、法を捨てず、触れる一切の法に粘着して止まず、過去・現在・未来の法が心中に粘着して止まず、念相続して断えず、一法も念ぜず、一法も粘らず、一法も滞着しないものはない。これが意根の遍計所執性である。このような特性を持つが故に、心は乱れ麻の如く、散乱して猿猴の如く、念念止まず、禅定なく、専注できず、無意味な法に極めて多くの時間と精力を消耗し、智慧は増進しない。

もし意根のこれらの念を観察する方法を得れば、意根がどの法に攀縁し執着しているかを証知し、遍計所執性を対治降伏する方法を得て、心を専注し、定力と慧力を向上させることができる。如何にして意根の遍計所執と念を観察するか。一には睡眠中の現れる境界と心念を観察し、これらの境界と念が秩序あるか乱雑か、重点は何か、何を説明しようとしているか、何を為そうとしているかを観察すれば、意根の執着と関心の内容、及び心中に存在する問題を理解するに至る。

二には覚醒直後の自らの念と情緒を観察する。これらの念は意根のものであり、意識のものではない。生じたばかりで、未だ念や情緒を形成する暇がないためである。三には禅定中に往来する心念を観察する。禅定中は意識が清浄となり念が無くなるが、内心には尚ほ定まらぬ心念が明滅し、軽重を変え、生滅を繰り返す。これらの心念は全て意根のものである。

あらゆる状況下の念は散乱して定まらず、その大多数は重要でない無意味なものである。ここより意根の遍計所執性を了解観察できる。この遍計所執性は無始劫以来、我々がどれほどの精力を消耗浪費し、得るべき善果を得ず、かくの如く処々に攀縁することは真に損得相償わざる所以である。

如何にして意根の遍計所執性を抑制減少させるか。無意味な人事物理に接触せず、種々の境界に接することを少なくし、世間の俗人俗事と膠着する人事を極力遮断し、一法を知ることを少なくし、知らざるを能う限り知らず、それら人事は何の意義もなく、徒らに時間精力を費やし心に不浄な念を残す。心中不断に意義ある一法を縁とし、この法に専注して動揺せず間断なく混ざり気なく、この法を主軸とし、日久しく功を積めば心中の雑念は減じ、散乱心は降伏され、心は定まり、精力は集中旺盛となり、智慧は増長する。