(十九)原文:問う。何故に「此有るが故に彼有り」と言うのか。答えて曰く、未だ縁を断ぜざるにより、余の生を得る義あるが故なり。問う。何故に「此生ずるが故に彼生ず」と言うのか。答えて曰く、無常の縁により、余の生を得る義あるが故なり。問う。何故に「生有るが故に老死有り」と言い、生の縁を以てして老死有りと説くのか。かくの如く乃至無明を行に望むとは。答えて曰く、この言教の道理により、実作用なき縁より、余の生を得る義を顕すが故なり。
釈:問:何故「此有るが故に彼有り」と言うのか。答:未だ(有の)縁を断じていないため、他の法が生じ得る故に「此有るが故に彼有り」と説く。問:何故「此生ずるが故に彼生ず」と言うのか。答:無常(生)の縁により、他の法が生じ得る故に「此生ずるが故に彼生ず」と説く。
問:何故「生有るが故に老死有り」と説き、必ず生の縁を要して老死有りとするのか。他の十一支分もまた如是く、必ず無明の縁あって初めて行有り、行の縁あって識有り、識の縁あって名色有り、名色の縁あって六入有り、六入の縁あって触有り、触の縁あって受有り、受の縁あって愛有り、愛の縁あって取有り、取の縁あって有有り、有の縁あって生有るというのか。答:生縁老死のこの道理は、実作用なき縁より他の法が生じ得ることを顕す。生支は実法ではなく真実の作用無くとも、老死現象生起の縁となり得る。他の十一支分もまた同様に、無明は実法でなく実際の作用無くとも行支生起の縁となり、行支もまた識支生起の縁となる。
原文:問う。何故に「生有るが故に老死有り」と言い、生の縁を離れずして老死有りと説くのか。かくの如く乃至無明を行に望むとは。答えて曰く、この言教の道理により、自相続の縁より、即ち自相続において、余の生を得る義を顕すが故なり。
釈:問:何故「生有るが故に老死有り」と説き、生の縁を離れずして老死有りとするのか。何故「無明の縁あって行有り」と説き、無明を離れずして行有りとするのか。何故「行の縁あって識有り」と説き、行を離れずして識有りとするのか。かくの如く乃至「有の縁あって生有り」と説き、有を離れずして生有りとするのか。答:生縁老死のこの言教道理は、生自身の相続する縁、即ち生自らの相続により、他の支分が生じ得ることを顕す故に「生縁老死」と説く。無明縁行・行縁識等もまた同様である。
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