『楞厳経』で説かれている如来蔵の瞋発労相とはどういう意味でしょうか

如来蔵のこの労触相は、意根によって生じるものであり、如来蔵の本体には労触も労触相も存在しません。三界の法に対して無心であるがゆえです。心性寂滅の如来蔵は、意根が絶えず縁を攀じるに従って、絶え間なく種々の法を生じ、眼で色を見、耳で声を聞き、鼻で香を嗅ぎ、舌で味を知り、身で触覚を感じ、意識で法を知らざるを得なくなります。こうして六入処の労触相が現れます。 

もし意根が諸法に縁を攀じなければ、如来蔵は寂滅の中に安住し、諸法を生じることがなく、六入処のこれらの機能作用も生じません。妄法が生じなければ、如来蔵は真実のままに動かず、妙湛として寂然としています。本来、如来蔵は何らの法も生ぜず、諸法に対して動じません。しかし業種が成熟し、縁によって妄動すれば、諸法は必然的に生起します。諸法が一旦生じれば、それは即ち労触であり、意根によって逼迫されたものです。ただし如来蔵には逼迫されるという考えや念もなく、逼迫されていることも知りません。ただ縁に随って任運に従い、他の想いを起こすことはありません。