十種の悪業の果報は臨終の時、全て現前に現れる
原文:仏は王に告げたまわく、然り、然り。愚かなる凡夫異生は、悦ぶべき音声を聞きて愛楽を起こし、染着を生じ、悪行を造作す。身に三、口に四、意業に三種。この業を作りおわりて刹那に滅謝す。この業滅しおわりて、東方に依らず、南西北方、四維上下、中間に住することなし。最後の際、命根滅する時、自分の業報は皆ことごとく現前に現る。あたかも夢より覚めて夢中の事を念ずるが如し。
釈:仏は説きたまわく、大王よ、まことにこの如し。愚かな凡夫異生は、自らが愛する音声を聞き、心に愛楽を生じ、貪愛の染汚心を起こし、悪業を造作す。色身において殺生・偸盗・邪淫を造作し、口業において両舌・悪口・綺語・妄語を造作し、意業において貪・瞋・痴の十種の悪業行をなす。悪業を造作しおわりて刹那に滅去す。滅去しおわりて、業行は東西南北四維上下及び中間に依って住することなく、影も形もなく消失す。されど最後に命根が謝滅する時、この一生に造作した業報は全て現前に現れる。あたかも夢より覚めて、なお心に夢中の事を念ずるが如し。
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