(八)原文:問。無明が行に対し、幾種の縁となるか。答。諸色行に対し、増上縁となる。無色行に対し、三縁となる。即ち等無間縁・所縁縁・増上縁なり。このように他の支が縁となる数は、以下の如く知るべきである。色法の支が色法の支に対し、一つの増上縁となる。色法の支が無色の支に対し、二縁となる。即ち所縁縁及び増上縁なり。若し無色の支が色法の支に対し、唯だ一縁となる。無色の支が無色の支に対し、三縁となる。即ち等無間縁・所縁縁・増上縁なり。
釈:問:無明が行を縁するこの支には幾種の縁があるか。答:無明が(引生する)一切の色法の行には唯だ一つの増上縁があり、無色法の行を縁するには三種の縁がある:等無間縁・所縁縁・増上縁である。他の諸支が縁となる数は、以下の如く知るべきである:色法の支分が色法の支分を縁するには、一つの増上縁のみあり、色法の支分が無色法の支分を縁するには二種の縁がある:所縁縁及び増上縁である。もし無色法の支分が色法の支分を縁するには、唯だ一つの増上縁となり、無色法の支分が無色法の支分を縁するには三種の縁がある:等無間縁・所縁縁・増上縁である。
無明から行へのこの支において、無明は意根の無明であり、無色の支である。無色の識心のみが無明を有し、色法は明と無明に関わらない。意根に無明あるが故に行あり、その行は色法の行(身体の行・口の行)と無色法の心行に分かれる。無明は色行に対し増上縁となり、色行の発生・発展・変異を促進する。色法は心法でない故に等無間縁・所縁縁なく、心法のみが等無間縁・所縁縁を有す。故に身行・口行には等無間縁・所縁縁なく、心行には等無間縁・所縁縁及び増上縁がある。無明は意根と同時に存在し、断絶なく、意根あれば無明あり。意根が無明を縁として初めて行が生じる。故に無明は意根の所縁縁となり、また意根の不断の行を促進し、行の増上縁となる。
行が識を縁するこの支において、行が六識の出生を促す。色行は五識の所縁縁・増上縁となり、無色行は意識の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。識が名色を縁するこの支において、六識は後世の色身の増上縁となり、後世の名(受想行識)の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。名色が六入を縁するこの支は複雑で、名は前五入の増上縁となり、後の意根入の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。色は前五根入の増上縁となり、意入の所縁縁・増上縁となる。五根入は色法で識心でない故、等無間縁・所縁縁を有さない。六入が触を縁するこの支において、意根入は意根触の等無間縁・所縁縁・増上縁となり、前五根入は五根触の増上縁となり、所縁縁・等無間縁を有さない。
触が受を縁するこの支において、意根の触は意識の受の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。受あれば必ず触あり、触が断たれれば受は消失する。五根の触は五識の受の所縁縁・増上縁となり、五識受の等無間縁は阿頼耶識と意根である。受が愛を縁するこの支も同様に、受は愛の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。愛は等無間に受を縁して初めて生じ、愛の所縁縁は受である。受なければ愛なく、受が愛を増長し引生する。
愛が取を縁するこの支も同様に、愛は取の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。取は等無間に愛を縁し、愛なければ取なく、取の所縁縁は愛である。愛が取を増長する。取が有を縁するこの支において、取は有の増上縁のみとなり、等無間縁・所縁縁ではない。有が生を縁するこの支において、有は色生の増上縁となり、名生の所縁縁・増上縁となるが、等無間縁ではない。生の等無間縁は阿頼耶識と意根である。生が老死を縁するこの支において、色生は老死の増上縁となり、等無間縁・所縁縁ではない。名生は老死の等無間縁・所縁縁・増上縁となる。
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