父子合集経講記（一〇〇）

死蘊と生蘊

原文：大王よ。識はその主となり、業は縁として機能する。二種の要素が相互に作用して、最初の識が生起する。或いは地獄に趣き、或いは畜生に堕ち、琰摩羅界及び阿修羅、人若しくは天に生ず。最初の識が生じた後、各々その報いを受ける。同分の心品は相続して転じ、最後の識が滅するを死蘊と名付け、最初の識が起るを生蘊と名付く。

釈：仏は説きたまわく、大王よ、阿頼耶識が衆生の主人として、来世の色身を生む因となり、業行が来世の色身を生む縁となる。因縁が和合すれば、来世最初の識心が現れ、来世の色身が生ず。この者は或いは地獄身・畜生身・鬼界に堕ち、或いは阿修羅身・人身・天身に生ず。来世最初の識心が生じた時、衆生は各々の果報を受け始める。その後この色身における識心は絶え間なく運転を続け、最後に識心が滅するを死蘊と称し、屍体と死者となる。最初の識心が生起する時を生蘊と称し、生者となるのである。