父子合集経講話（九十六）

一切の法は生滅し、虚妄である

原文：大王よ。この世から他世へ至る微塵ほどの法も存在しない。なぜか。その本性が生滅するがゆえである。大王よ。身識が生ずる時、来る所なく、滅する時、去る所なし。その業が生ずる時、来る所なく、滅する時、去る所なし。初識が生ずる時、来る所なく、滅する時、去る所なし。なぜなら、自性が離れているからである。

このように了知せよ。身識は身識として空なり。自業は自業として空なり。初識は初識として空なり。滅すれば滅は空なり。生ずれば生は空なり。業の転変を了知し、造作者なく、受ける者もなし。ただ名相の分別によって顕現するのみ。

釈：大王よ、この世から他世へ持ち運べるものは何一つありません。なぜでしょうか。一切の法は生滅するものであるからです。大王よ、身識が生じる時、来る所なく、滅する時、去る所がありません。識心が造作する業行も、生ずる際に来る所なく、滅する際に去る所がありません。色身に最初に生じる識心も、生ずる時来る所なく、滅する時去る所がありません。なぜこれらの法に来去がないのか。これらの法の自性が一切の法を離れ、一切の法の真実性を持たないからです。

このように身識を了知し、身識の空を了知します。自らが造った業行とその空を了知し、初識とその空を了知します。これらの法が滅すれば、その滅も空であり、生ずればその生も空です。業力の流転に造作者なく、受報者もないことを了知します。ただ様々な名相の分別によって顕れ示されているに過ぎません。

微塵ほどの法もこの世から他世へ至ることはなく、何一つ持ち去られません。なぜなら、これらの法の本性が生滅し、空であり、幻化しているからです。身識が生ずる時来る所なく、滅する時去る所がないように、善悪の業行も、生ずる前に来る所なく、滅した後も去る所がありません。一切の法に自体性がなく、元来一切の法性を具えず、一切の法を離れ、一切の法の真実性を持たないからです。