(六)原文:また現法において。触縁に依って受を起こし、愛を発起す。境界を受用する縁によって、広く追求を起こす。或いは事業門によって、或いは利養門によって、或いは戒禁門によって、或いは解脱門によって、欲求を発起す。内身を求め、邪解脱を求む。かくの如く求むる時、先に起こしたる煩悩及び業の引き起こす五趣生死の果を生ぜしむ。生を得たる後、老死随逐す。
釈:現前の存在法において、触の因縁によって生じた受に依拠し、愛が生起する。境界を受用する縁によって、広く追求と求取が生じる。あるいは生存事業の面において、あるいは名声利養の面において、あるいは戒禁取の面において、あるいは生死解脱の面において、貪欲の追求・五陰身の追求・邪解脱(正しからざる解脱)の求取が生じる。このように貪求する時、以前に生じた煩悩および煩悩業行が引き起こす五道の生死輪廻の果報を現出させる。生が現れた後、老死がその後を追う。
原文:また次第差別あり。三種の有情聚を謂う。一には出世間の清浄を楽しむ。二には世間の清浄を楽しむ。三には境界に執着する。初の聚によって、諸縁起を滅し白浄品を増す。第二の有情聚によって、諸諦の道理を如実に知らず。正念に住すれば、或いは福業を作し、或いは有漏の修によって引かれる不動業を作す。正念に住せざれば、非福業を発し、或いは追悔によって引き起こされ、或いは追悔せず歓喜によって引き起こされた心相続の住となる。彼らまた前に如く、下中上の生処次第によって、当来の三種苦果を感ず。名色を先とし触を最後とする。第三の有情聚によって、現に受用する境によって生じた受に依り、現法中に前の次第の如く、後の六支を起こす。受を先とし老死を後とする。
釈:さらに次第的な差異がある。三種類の有情集団を指す。第一は出世間の清浄法を喜ぶ有情、第二は世間の清浄法を喜ぶ有情、第三は境界法に執着する有情である。第一の有情集団によって、一切の縁起法を滅し清浄無垢の業種を増長する。第二の有情集団は四聖諦の理を如実に理解せず、清浄な正念に住すれば福業を作り、あるいは有漏の修行によって引き出される不動業(例えば純粋な禅定で四禅定心の不動を達成する)を作る。有情が正念に住さない場合、非福業を作り、ある者は非福業を造って後悔し、ある者は後悔せず歓喜する。これらの者は以前と同様に、非福業によって下中上三種の生処を感得し、三種の苦果を伴う。前六支の因縁において、最初に名色があり、最後に触が生じ、これによって苦果が現れる。第三の有情集団は、現前の境界受用によって生じた受に依り、現存法において前述の次第通り、後の六支(受・愛・取・有・生・老死)を生起させる。受が最初にあり、老死が最後に来る(以上は順十二因縁観についての解説)。
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