(五)原文:四大種とは何か。地水火風の界をいう。これらは二界に通じる。四大種の造り出す色とは何か。十の色処、及び法処に摂せられる色をいう。欲界には十を具え、法処に摂せられる仮の色あり。色界には八つ及び法処に摂せられる色あり。しかし全てにあらず。これも二種あり、識の種子に摂受される種子の名色、及びそれより生じる果の名色という。
釈:四大種とは何か。地水火風の界が四大種であり、欲界と色界に通じる。この二界には色法が存在し、無色界には色法がないため、四大種は無色界に通じない。四大種が和合して造り出す色法とは何か。十種の色法及び法処に摂せられる色を造り出す。欲界には十色法(色・声・香・味・触・眼根・耳根・鼻根・舌根・身根)と法処に摂せられる仮法を具え、色界には八色法(色・声・触・眼根・耳根・鼻根・舌根・身根)と法処に摂せられる仮法がある。
しかし四大種は全ての法に通じるわけではなく、識の種子によってのみ通じる。第一は識の種子に摂受される種子位の名色(中有の段階)、第二は識の種子から生じる果報の名色である。四大種と識種子は阿頼耶識中の種子として並列関係にあり、五陰の名色を構成する。有形の色は四大種により、無形の名は識種子により形成される。
原文:眼処とは何か。眼識が依る清浄なる勝義眼根をいう。これにより過去の色を見、現在の色を見、未来の色を見る。眼処がこの如く、耳処・鼻処・舌処・身処、乃至意処もまた然り。一切の処において三時の業用差別を説くべきなり。これも二種あり、名色の種子に摂受される六処の種子、及びそれより生じる果の六処をいう。五つは欲色界にあり、第六は三界に通ず。
釈:眼処とは眼識が生起・運行する際に依る清浄な勝義眼根である。これにより過去・現在・未来の色を了知する。六処(眼・耳・鼻・舌・身・意)は各々対応する境を了知し、意根の選択により六識が生起する。一切の処には過去・現在・未来の三時の業用差別がある。業用には二種あり、第一に名色の種子に摂受される六処の種子(未発現)、第二に名色より生じる果報体の六処である。前五処は欲界・色界に存在し、第六処は三界に通じる。
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