識界とは何か。
原文:大王よ。識界とはいかに。眼根を主とし、それらの形色および表色に縁るを眼識界と名づく。他の五根がそれぞれ自境に縁り、各別に建立するを五識界と名づく。またこの識界は根に執着せず、境に住せず、内にあらず外にあらず、また両者の中間にもあらず。
釈:大王よ、識界とは何か。眼根を主として色塵の形色(形状ある色)と表色(動作表現)に攀縁する時、これを眼識界と呼ぶ。他の五根がそれぞれ対応する塵境に縁り、各々に対応する塵境を建立する時、これを五識界と呼ぶ。この識界は根に附着せず、境に住せず、根と境の内外および中間に存在しない。
識界とは眼・耳・鼻・舌・身・意の六識を指す。眼根を主とし、縁(依存)とは識心が生じる助縁として、眼根等を以て色塵の形色(長短・方円・高低・肥痩などの形状)と表色(行住坐臥・屈伸などの動作)、さらに顕色(色彩)を了別する。根と塵が接触する時、如来蔵より生じる眼識と意識が識界を成す。
他の五根も同様に、耳根は音声に縁り、鼻根は香りに縁り、舌根は味に縁り、身根は触覚に縁り、各々意根と共に法塵に縁って識を生じ、対応する塵境を了別する。これら諸識を総称して識界という。
識界は根にも境にも住せず、根と境の内外中間にも存在しない。これは識界が形なく、色法と混在せず、融合しないためである。
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