父子合集経講話（三十一）

水界の生滅は虚妄なり

四大海の水が形成された当初、水はどこから来たのでしょうか。来るべき所もなく、やがて四大海の水は蒸発して消え去りました。蒸発した水はどこへ行ったのでしょうか。虚空へ消えたのでしょうか。虚空にそれほどの水が存在すれば収まりきらず、水があるならばそれはもはや虚空とは呼べず大海と呼ぶべきです。故に大海の水が消え去っても行くべき場所はなく、水界とはこのように虚妄なるもので、来る所なく去る所なく、空から空へと移るのです。この三千大千世界全体がかくの如く虚妄であり、十方世界の仏国土もまた同様に虚妄で、生じては滅し、滅しては生じ、全て執着すべきものではありません。水界の本性は、生じた時より本来空であり、滅する時もまた空、空から空へと至り、何ものも存在しないのです。