(三)原典:縁に生有る者。何を以て生と為すや。彼彼の衆生、彼彼の身の種類に於て一生を超え、和合を越えて出生し、陰を得、界を得、入処を得、命根を得る。是を名けて生と為す。生を縁として老死有り。何を以て老と為すや。若し髪白く頂を露わし、皮膚緩やかに根熟し、支え弱く背偻み、頭を垂れて呻吟し、気短く前輸し、杖を柱にして行き、身体黧黒く、四体斑駁し、闇鈍に垂熟し、行いを造るに艱難羸劣なるを、是を名けて老と為す。何を以て死と為すや。彼彼の衆生、彼彼の種類没し、身を遷移して壊れ、寿尽き火離れ、命滅して陰を捨つる時至るを、是を名けて死と為す。此の死及び前に説く老、是を名けて老死と為す。是を名けて縁起の義説と為す。仏此の経を説き已り、諸比丘仏の説きたまう所を聞き、歓喜して奉行せり。
釈:有を縁として生有る。何を生と為すや。生とは次々の衆生が、種々の色身の種類において、出生後に五陰を得、十八界を得、六入処を得、命根を得ることを指す。これを生と称する。生を縁として老死有り。何を老と為すや。髪白く頭頂光秃となり、皮膚代謝緩慢にして皺を生じ、五根熟透して更新せず、四肢力弱く、腰曲がり背中丸く、頭垂れて呻吟止まず、呼吸短く入る気は即ち出ずる気となり、杖に頼りて歩み、身体次第に黒ずみ、色雑じり純粋ならず、暗鈍にして動作艱難無力、これらの現象あれば即ち老なり。何を死と為すや。次々の衆生、次々の種類消失し、身壊れ命終りて他の種類の衆生に遷移し、寿命尽き生命の火消え、命滅して五陰を捨離する時至るを、即ち死と為す。死と老と和合するを老死と称す。これらの内容即ち縁起法の義説なり。
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