概念は意識心のみが有するものであり、意識は概念と相応する。五識・末那識・第八識には法の概念が存在しない。なぜなら意識は法の相貌と相応し、思惟分析・帰納概括の能力を有するが、他の識にはこの能力がないからである。
経験とは、相応する法を経歴する過程で蓄積された智慧的認知である。五識は五塵境に対する経験を有し、意識は法塵に対する経験を有する。六識の経験は一生涯に限られ、忘却性を伴う。これに対し末那識が蓄積するのは永劫にわたる経験であり、不滅で、危急の際に迅速に作用して自身の安危と利益を保護する。第八識は永劫不滅ではあるが、記憶がなく経験という概念も存在しない。その智慧は固定的で法爾如実のものであり、増減することなく、従って経験を要せずとも一切の法を秩序正しく正常に運行させることができる。
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