十二縁起において、無明より行が縁起し、行より識が縁起し、識より名色が縁起する。ここでの「識」は六識を指します。六識が作り出す身口意の行いが後世の業種を残すため、入胎して後世の名色を得るのです。しかし十縁起における「識より名色が縁起し、名色より識が縁起する」という場合の「識」は六識を指しません。名色が識に依存して生住異滅の現象が生じるという意味であり、まずこの識が存在し、その後名色が生じ、六識が生じるのです。名色にはすでに六識が含まれており、六識は名色に伴って存在するもので、生住異滅するものであり、この識に依存して初めて生住異滅が可能となります。
したがって名色より識が縁起する場合の「識」と六識は同等の関係ではなく、生むものと生まれるものの関係です。この識は天地に先立つ根本識であり、不生不滅で万法を生じる阿頼耶識なのです。
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