原文:この時、心中に思惟観念す。我は了々と観知す、この道は応に証を取るべからずと。二つの事の力の故に未だ涅槃に入らず。一には大悲、衆生を捨てず。二には諸法の実相を深く知るが故なり。諸々の心・心数法は因縁より生ず。我今いずくんぞこの不実に随わんや。まさに自ら思惟し、深く十二因縁を観ぜんと欲し、因縁の何なる法たるかを知らん。
釈:この時、心の中で思惟し自らの心念を観察する。我は今心の中にはっきりと観察できる、四聖諦の法を修行しても四果と涅槃を証得できないことを。二つの事柄の力によって、我をして涅槃に入らしめない所以は、第一に大悲心をもって衆生を憐れみ、我は衆生を見捨てて顧みないことができないため。第二に諸法の実相を深く知り、一切の心法・識心の心数法が因縁より生じることを悟っているためである。我は今どうしてこれらの不実の法に随順できようか。我は慎んで思惟し、深い禅定に入り十二因縁法を観察し、究竟的に十二因縁がどのような法であるかを了知すべきである。
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