原文:阿难。空性无形。因色显发。如室罗城。去河遥处。诸刹利种。及婆罗门。毗舍首陀。兼颇罗堕。旃陀罗等。新立安居。凿井求水。出土一尺。于中则有。一尺虚空。如是乃至。出土一丈。中间还得。一丈虚空。虚空浅深。随出多少。此空为当。因土所出。因凿所有。无因自生。
解釈:阿難よ、空性には形というものがなく、色相によってこそ表示され、発見されるのです。室羅城のように、川から離れたところには、刹利種、婆羅門種、毘舎首陀種、頗羅堕種、旃陀羅種などの諸族の人々がいて、新しい家を建てて安居するときに、水を求めて井戸を掘ります。地中の土を一尺掘り出すと、そこには一尺の虚空が生じ、このようにして一丈の土を掘り出せば、地中には一丈の虚空が得られます。虚空の浅い深いは、掘り出した土の多少によって決まるのです。この虚空は、土によって生じたのでしょうか、鑿(のみ)によって生じたのでしょうか、それとも何の原因もなく自ら生じたのでしょうか。
原文:阿难。若复此空。无因自生。未凿土前。何不无碍。唯见大地。迥无通达。若因土出。则土出时。应见空入。若土先出无空入者。云何虚空。因土而出。若无出入。则应空土。元无异因。无异则同。则土出时。空何不出。
解釈:阿難よ、もし虚空が原因なく自ら生じたのであれば、土を掘る前には、なぜその虚空が無碍ではなかったのでしょうか。ただ大地の障りが見えるだけで、通達した虚空は見えません。もし虚空が土によって生じたのであれば、土が出てくるときに、虚空が入ってくるのが見えるはずです。もし土が先に出てきて、虚空が入ってこないのであれば、どうして虚空が土によって生じたと言えるでしょうか。もし土と虚空に出も入りもないのであれば、虚空と土の生起には本来差異のない原因があるはずで、差異がなければ同じであり、同時に出て同時に入るなら、土が出ていくとき、なぜ虚空が出ていかないのでしょうか。
原文:若因凿出。则凿出空。应非出土。不因凿出。凿自出土。云何见空。汝更审谛。谛审谛观。凿从人手。随方运转。土因地移。如是虚空。因何所出。凿空虚实。不相为用。非和非合。不应虚空。无从自出。
解釈:もし虚空が鑿によって生じたのであれば、鑿によって虚空が生じた以上、土は出ていないはずです。もし虚空が鑿によって生じたのでなければ、鑿はただ土を掘り出すだけで、どうして虚空が現れるのが見えるのでしょうか。あなたはさらに仔細に諦観して、よくよく審しく観察しなさい。鑿は人の手に従って、方角に随って運転し、土は地の移動によって出ていくのです。このような虚空は、何によって生じたのでしょうか。鑿と虚空は一つは虚、一つは実であって、互いに用をなすことができず、和合することもできません。虚空が、出処もなく自ら生じたはずはありません。
原文:若此虚空。性圆周遍。本不动摇。当知现前。地水火风。均名五大。性真圆融。皆如来藏。本无生灭。阿难。汝心昏迷。不悟四大。元如来藏。当观虚空。为出为入。为非出入。汝元不知。如来藏中。性觉真空。性空真觉。清净本然。周遍法界。随众生心。应所知量。
解釈:もし虚空の性質が円満で遍周法界であり、本来不動不揺であるならば、現前する地水火風とともに、いずれも五大と名づけられるべきで、その性は真実円融無碍であり、いずれも如来蔵性であって、本来生滅がないのです。阿難よ、あなたの心は昏沈して惑乱し、四大が本来如来蔵であることを悟っていません。あなたは虚空を観じて、出入りがあるのか、それとも出入りがないのかを見るべきです。あなたはそもそも、如来蔵の中では、覚性こそが真実の空性であり、空性こそが真実の覚性であり、本然として清浄 (viśuddha/pariśuddha) で、周遍法界し、衆生の心に随って、その了知すべき量に応じて現前することを知らないのです。
原文:阿难。如一井空。空生一井。十方虚空。亦复如是。圆满十方。宁有方所。循业发现。世间无知。惑为因缘。及自然性。皆是识心。分别计度。但有言说。都无实义。
解釈:阿難よ、一つの井戸を掘れば、一つの井戸の中に虚空が生じるように、十方に井戸を掘ってもまた同じように、十方の虚空が現前します。虚空は十方に円満して無碍であり、方向や処所などあるはずがなく、ただ衆生の業力に循って現れるのです。世間の人は無知であって、愚かにも因縁によって生じたもの、あるいは自然に有るものと惑い、いずれも衆生の虚妄の識心の分別・計量・思量 (manasikāra/manana) にすぎません。何か言説があるだけで、実際の意義は何一つないのです。
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