識心心所法の作用は、一個人の性格、気質、性質、智慧と密接に関連しています。もし心所法の運行を理解したいのであれば、各人が物事に接触し始めてから最終的に決定を下すまでの間の表情、眼差し、顔色、言動、挙動、反応の速さなどを観察することで、各心所法が作用する過程とその速度、さらには各人の習性の重さや智慧の優劣を窺い知ることができます。この一連の心の働きは、一個人の心性、習性、煩悩、智慧の表れであると同時に、心所法そのものの顕現でもあります。
気性の急な人や心が粗雑な者は、人事物に接触した後、大雑把に了別して正誤や細部を顧みず、自らの了別が究竟無謬であると思い込みます。すると受覚が生起し、或は喜び、或は瞋り、或は貪り、或は厭うというように執着心が強く働き、善し悪しを考えず即座に決断を下します。このような心所法の運行は単純かつ迅速ですが、結果は予測不能です。一方、大雑把な了別後に受覚が生じても、自ら再び仔細に了別分析し、誤った認知を修正して覚受を転換した上で決断を下す人もいます。その心所法の運行はやや複雑で、反復作用を伴います。多くの場合、了別が深まるにつれ受心所法も変化を続け、人事物に翻弄され心がそれらに囚われて超脱できません。
理性的な人は往々にして、人事物を徹底的に理解しない限り思想情緒が生起せず、軽率に判断を下しません。一時的な粗雑な了別を究竟と見做さず、反復観察し弁別し推敲を重ねます。修養を積んだ者は、了別した人事物が好悪の対象であっても心を動かさず、超然として解脱しています。
大雑把な人の心所法は迅速かつ単純に運行し、細やかな心遣いの人の心所法は緩慢で深細かつ複雑に作用します。煩悩の重い人の心所法は錯綜して解き難く、愚鈍な者は迅速に了別した後、自らの能力不足を悟って放棄し心所法が速やかに消滅するか、或いは了別を明らかにしようとして心所法が極めて緩慢に運行し、長時の了別、長時の受、長時の思量を経ても最終決断に至りません。聡明な智慧の持ち主は、迅速に了別を明らかにしてその内奥を深く知るか、或いは極めて入念に究竟まで了別して誤りを生じません。
心所法の運行は極めて錯綜複雑であり、各人の性格、気質、性質、煩悩、執着の軽重と密接に関連しています。同時に、各人の教養、修行、禅定、戒律、智慧とも深く結びついています。
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