絵を模写する際、目は景物を繰り返し絶え間なく観察し識別し、意識は観察しながら絶えず記憶します。模写時には描きながら絶えず回想し、この過程を繰り返し、作品が完成するまで模写を続けます。景物を一目見て少し描き、しばし思索し、さらに少し描き、再び思索するという過程を繰り返し、完成に至ります。完成した絵は傍らに置き、思索も描画も意図もせず、次の活動に移ります。
五遍行心所の運行過程は模写に類似しています。絵画の過程と識心の作用原理は相通じ、識心が一つの法に作用する時、必ず運行を完了して初めてその法を放下します。運行未完了時には反復して作意し、接触・受容・領納・了別・了知・感受・思量を繰り返し、絶えず分析・思択し、運行を継続します。この過程は極めて複雑です。心所法の運行順序は必ずしも「受→想」の順ではなく、識心の認知智慧と程度に依ります。運行完了後に深い感受が生じ、感受後に再び了別し、了別後に再び感受し、意根が充分に了別したと判断した時点で作意を停止します。意根が後日再び何かを了解する必要を感じた時、再び法に対して作意・触受・想思を行い、完全に了解・理解した時点で、この法に対する心所法の運行を停止し、この法は識心中から消滅します。
時に思量完了後に決定を下し、時に思量完了後も決定しない場合があります。これは意根が未だ充分に了別していないと判断するためです。意根が最終的な決断を下さない限り、五遍行心所法は終了せず、意根が満足し目的を達成したと感じるまで思量を続け、直ちに処理方法を決定します。
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