記憶の内容は、一切の法が種子となって如来蔵に存在し、脳に存在することはできません。種子は形も相もなく、脳は物質的な色法です。物質的な色法は形と相を持ち、滅びるものです。もし記憶の内容がすべて脳に存在するならば、脳が滅びた時に後世これらの内容はすべて消失し、因果がなくなってしまいます。今世の脳細胞が生滅変異すれば、記憶の内容も消失し、後になって思い出すことができなくなります。
第八識には記憶や保持の機能がなく、五識には微弱な保持機能があります。意識と意根には記憶保持の機能がありますが、想起できるのは意識だけです。意根が過去の法塵に攀縁することを憶持と言い、想起とは言いません。想起はより微細であり、意根は微細な了別ができず、細部を弁別することができないのです。
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