ある種の記憶喪失を患う者や、老年期のパーキンソン病患者が存在し、自らが何者であるか、また周囲の一切の人事物との関係を忘却する。この問題は意識に関するもので、勝義根に関わるものである。意根は果たして忘却するものであろうか。
記憶喪失を患う者も、仮にその病が治癒すれば記憶は回復する。これは意根が常に過去の一切の法を了知していることを示している。記憶を失った者が人事物に接する時、漠然とした既視感を覚えるのも、意根が了知している証左である。記憶喪失者が記憶回復を願い努力する様は、まさに意根の想いが意識に働きかけ、方策を模索させる所以である。
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