問:もしある人が亡くなった後も輪廻を繰り返し人間に生まれ変わり、縁あって前世の墓穴を掘り起こしたとします。中有の謎により、その墓が自分の前世のものだと気づかない場合、そこで副葬品を持ち去ったら、それは所有者の許可を得たことになるのでしょうか。そうでない場合、これは窃盗に当たるのでしょうか。
答:所有者が変わらず、依然として同一人物であるならば、窃盗には該当しません。まるで左手の物を右手に移すように、首から下ろしたネックレスを手提げ鞄に入れるようなものです。この人物が盗んだのは自身の前世の品ではありますが、この行為自体には依然として「盗み」の属性が伴います。なぜなら盗心が存在するからです。一切の罪福の業は心を主とし、無心であれば罪福も生じません。しかしながら、この人物が盗んだのは自己の所有物であり、他者を侵害しておらず、物品が他者から自己へ移動したわけでもなく、所有者の交替もないため、盗業は完全には成立せず、窃盗は未遂に終わっています。よって得られる罪は軽微です。
明らかに他人の家で特定の物を盗もうとした者が、探し回ったもののその品を見つけられなかった場合、盗心と盗行は存在するものの、盗罪は成立しません。あるいは品を持ち出そうとした瞬間に主人が帰宅し、仕方なく品を放棄して逃走した場合、盗行は中途で放棄されたため、盗罪は成立しません。これらの事例が示すのは、盗心が存在しても盗業が不完全であり、物品の移動が発生していない場合は罪を確定できず、処罰は軽くなり、果報も軽微になるということです。
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