問:泥棒が盗んだものをこっそり持ち去る行為は、窃盗にあたるのでしょうか?盗んでいるのは泥棒のもの?それらのものは泥棒の所有物なのでしょうか?秋に田んぼで作物が収穫される頃になると、野ネズミが穀物を少しずつ盗み、自分たちの巣穴に埋めて冬の食糧として蓄えます。これは彼らにとって冬を越すための食糧です。ところが冬が近づくと、野ネズミの巣穴を探して、蓄えられた様々な穀物を掘り出し家に持ち帰る人々がいます。一つの巣穴から数キロ、時には十キロもの穀物が見つかることもあります。巣に戻った野ネズミが穀物がなくなっていることに気づくと、絶望して自殺するものもいれば、そうでなければ冬に食べるものがなく餓死してしまいます。野ネズミの穀物を掘り出す行為は、窃盗行為にあたるのでしょうか?
答:故意による盗みと過失による取得では大きな違いがあります。人は無始劫以来、数えきれないほどの善悪の業の種を除いては、何一つ得たものはありません。
いわゆる盗(偸盗)とは、与えられざるものを取ることであり、所有者の同意を得ずにこっそり持ち去り、勝手に自分の手元や名義下に移動させ、自己の所有とする行為です。所有者は必ず有情衆生でなければならず、盗む者は盗心を持って能動的に取得し、その過程で一定の方便手段を講じ、最終的に物が所有者から離れ、自己の所在地に移動し、盗んだ物を所有することに成功した状態を指します。
野ネズミの行為は窃盗に該当します。第一に盗心があり、人に知られないようこっそり持ち去ります。第二に口でくわえて運び去るという方便手段を講じています。第三に穀物が田畑から離れ、自身の巣穴に置かれ、自己の所有物となりました。これが窃盗である以上、盗まれた穀物は必然的に野ネズミの所有物となります。そうでなければ窃盗とはならず、盗みは成立しません。もし人間が再び野ネズミの巣穴の穀物を掘り出すならば、それは野ネズミのものを盗む行為にあたります。もし野ネズミの行為が窃盗ではなく、人間に代わって保管しているものであれば、人間が掘り出しても野ネズミから盗んだことにはならず、他の誰か(本来の所有者)から盗んだことになります。
同様に、泥棒が盗んだものをこっそり持ち去る行為も、窃盗行為にあたります。なぜなら、泥棒は一定の方便手段を用いて、物を自分の手元に盗み出すことに成功し、その物の新たな所有者となっているからです。もし所有者が変わっていなければ、窃盗は成立しません。他の誰かが一定の方便手段を用いて、泥棒のものを自分の手元に移動させることに成功すれば、その者は新たな所有者となり、この行為も窃盗に該当します。ただし、その過程に他の発心(所有意図以外の動機)がある場合、つまり泥棒のものを占有しようとする意図がない場合は、必ずしも窃盗とは限りません。
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