留惑潤生とは何ですか？

惑いを留めて生を潤すとは、微細な思惑煩悩を残し続けることによって来世の受生を維持することを意味します。もし煩悩を完全に断じ尽くし、意根が三界の法に全く執着しなくなれば、命終の時には第四果の阿羅漢のように五蘊を滅し、無余涅槃に入ります。菩薩が明心を得てから八地菩薩に至るまでは、微細な思惑を断じ残す必要があります。この残された煩悩があるからこそ、菩薩は生生世世にわたって五蘊身を受けて仏法を修学し、自利利他を実践できるのです。もし菩薩が明心後に全ての思惑煩悩を断じ尽くせば、阿羅漢のように寿命尽きて五蘊を滅し無余涅槃に入るため、菩薩道を継続できなくなります。七地菩薩に至ると、思惑煩悩を完全に断じ、禅定の境地が極めて深くなるため、いつでも滅尽定に入ることが可能になります。この段階では些細なきっかけで涅槃に入りかねないため、仏が常に菩薩を見守り、涅槃に入らず八地修行へ進むよう導かれます。清浄なる大願によって支えられなければ、地上の菩薩は容易に無余涅槃に入ってしまいます。これは禅定の功力が深まるにつれ、三界の世間法への興味が薄れ、七地では念々に涅槃を希求するためです。よって仏は菩薩たちが初地に入る際、華厳経に説かれる十種の無尽願を発するよう教えられます。この願いは成仏に至るまで尽きることがなく、その願力によって菩薩は世々に生を受け五蘊を具現し、無量の衆生を救済しつつ遂に仏果を成就するのです。