優婆塞五戒相経 第二節 原文:もし在家信者が賭博を行い、盗心をもって骰子を操作し、相手に勝って五銭以上を得た場合は、不悔罪を犯す。もし在家信者が盗心をもって仏舎利を盗んだ場合は、中可悔罪を犯す。もし恭敬心をもって「仏もまたわが師なり」と念じ、清浄心で取得した場合は、犯にはならない。もし在家信者が盗心をもって経典を取得した場合は、不悔罪を犯す。その価値の軽重によって計らう。
解釈:もし在家信者が賭博をする際、盗心をもって不正行為を行い骰子を操作し、相手から五銭以上を勝ち取った場合、不悔罪を犯す。もし在家信者が盗心をもって仏舎利を盗んだ場合は、中可悔罪を犯す。もし恭敬心をもって「仏もわが師である、私も供養すべきである」という念いを起こし、清浄心で仏舎利を取得した場合は、盗罪を犯さない。もし在家信者が盗心をもって経典を取得した場合は、不悔罪を犯す。経典の価値の多少によって盗罪の軽重を判定する。
なぜ仏舎利の盗取に対する判罪が比較的軽いのか。仏舎利は仏に属するものであり、仏は舎利に対する執着がなく所有権を主張されないため、舎利はすべての仏弟子に属し、人々に分け与えられるものである。盗んだ仏舎利の中には自身の分も含まれているからである。また仏舎利を盗む目的も供養のためであり、利益を得るためではないため、罪は軽いのである。なぜ経典を盗むと不悔罪を犯すのか。経典の印刷にはインクや紙、人件費などのコストがかかり、つまり経典には一定の価値があるため、これを盗めば罪となり、五銭を超えると罪は悔い改められなくなるのである。
原文:田畑を盗む者には二つの因縁がある。他人の田地を奪うこと。一つは訴訟を起こすこと。二つは境界標を設置すること。もし在家信者が土地を得ようとして、他人が勝訴するように仕向けたり、異なる境界標を設置して過分に土地を得て、その価値が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。
解釈:田畑を盗み占拠する者には、二つの因縁によって他人の田地を侵害する行為が発生する。一つは役所に告訴し、訴訟を起こして勝訴すれば田地が自己の所有となること。二つは境界標を設置し、標線を相手の田地内に引くことで不法に他人の田地を占有すること。もし在家信者がより多くの土地を得ようとして、他人を告訴して勝訴した場合は、不悔罪を犯す。あるいは田地に境界標を設置して過分に田地を占拠し、その過分な部分の価値が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。
原文:ある在家信者が、納めるべき市税を納めず、その額が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。またある在家信者が関税所に至り、他の在家信者に「この物品を私の代わりに通関してほしい。税の半分を支払う」と依頼し、依頼を受けた者が物品を通関させて脱税額が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。在家信者がもし他人に抜け道を示し、脱税させて物品価値が五銭相当の場合、中可悔罪を犯す。
もし税関に賊や猛獣、あるいは飢えた獣がいることを知り、故意に別の道を示してその危害を免れさせた場合は、犯にはならない。また在家信者が賊と共謀して村落を襲撃し物品を得て、分け前の価値が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。
解釈:ある在家信者が納めるべき税銭を納めず、脱税額が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。またある在家信者が通関税を納める税関にて、他の在家信者に「この物品を私の代わりに密輸してほしい。税の半分を支払う」と依頼する場合がある。依頼を受けた者が物品を密輸し、脱税額が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。
在家信者がもし他人に税関への道ではない抜け道を示し、納税できなくさせて脱税額が五銭相当の場合、中可悔罪を犯す。もし税関に賊や猛獣、あるいは飢えた状態の猛獣がいることを知り、故に故意に別の道を示してその在家信者を危害から守った場合は、罪を犯さない。また在家信者が賊人と共同で計画を立て、村落を襲撃して民衆から財物を奪い、分け前の価値が五銭に達した場合は、不悔罪を犯す。
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