優婆塞五戒相経 第一節 原文:また一人の小児が笑うことを好んだ。居士(在家信者)が彼を捕まえてくすぐった。大笑いさせたために、遂に死んでしまった。居士は疑念を抱いた。仏は言われた。ふざけて笑わせたためである。殺罪には当たらない。今後は人をくすぐって笑わせてはならない。
また一人の者が座り、衣をもって自らを覆っていた。居士が「起きろ」と呼びかけた。その者は言った。「私を起こすな。起きれば死ぬ」と。再び「起きろ」と呼びかけた。起きたら即死した。居士は疑念を抱いた。仏は言われた。中品の悔い可き罪を犯した。もし汝が薬の漿(飲み物)を与えた時に死んだならば、戒を犯す悔い不可き罪である。
解説:また一人の子供が笑うことが好きであった。居士が彼を捕まえてくすぐり、その子供を大笑いさせ続けたために死なせてしまった。居士は自分にどのような罪があるか理解できなかった。仏は彼に言われた:これは遊び戯れて笑わせたことによるので、殺罪には当たらない。今後は人をくすぐって笑わせてはならない。
ある人が座って、衣で自分の体を覆っていた。居士が「起きなさい」と呼びかけると、その人は言った:「私を起こさないでください。起きれば死んでしまいます」。居士がまた「起きなさい」と呼びかけると、その人は起き上がるとすぐに死んだ。居士は自分にどのような罪があるか理解できなかった。仏は彼に言われた:あなたは中品の悔い可き罪を犯した。もしあなたが彼に薬の漿(飲み物)を与えて死なせたならば、あなたは悔い不可き罪を犯すことになる。
悔い可き罪を犯すのは、殺意がなく相手を誤って殺してしまったためである。悔い不可き罪を犯すのは、故意に殺し、殺意があったためである。悔い可き罪は殺意がないため、心性は悪ではなく、汚れもなく、性罪は軽く、業罪も軽い。懺悔を経れば、性罪の罪業を軽減または消滅させ、地獄の業報を免れることができる。悔い不可き罪は、主観的に殺意があったため心性が悪く、性罪は重く、業罪も重い。心性の煩悩による障りのため、たとえ懺悔しても性罪を懺悔しきることはできず、業罪を軽減することもできず、地獄の罪は免れない。一切の罪業の軽重は、全て心性によって決定される。
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