優婆塞五戒相経 第二節 原文:仏が諸比丘に告げられた。優婆塞が三種の方法で他人の重物を取れば、不可悔罪を犯す。一には心を用いる。二には身を用いる。三には本処を離れる。心を用いるとは、心を発して思惟し、盗みを為さんと欲すること。身を用いるとは、身分などを使って他人の物を取ること。本処を離れるとは、物の在る処に随って、挙げて余の処に置くことである。
釈:仏が諸比丘たちに言われた。優婆塞が三種の方法で他人の比較的貴重な物品を取得すれば、不可悔罪を犯す。一には心を用いて他人の物を取る。二には身を用いて他人の物を取る。三には物品が元の位置を離れる。心を用いて取るとは、心を起こし思惟して、盗みをしようと欲すること。身を用いて取るとは、身体の肢分などを使って他人の物品を取得すること。本処を離れるとは、物品を元の所在していた場所から、他の場所へ移動させることである。
原文:また三種あり。人の重物を取って、不可悔罪を犯す。一には自ら取る。二には他を教えて取らせる。三には使いを遣わして取らせる。自ら取るとは、自らの手で挙げて本処を離れること。他を教えて取らせるとは、もし優婆塞が人に教えて言う。『彼の物を盗め』と。この人が随意に取り、本処を離れた時(に罪となる)。使いを遣わすとは、使いの者に言葉で言う。『汝は彼の重物の在る処を知っているか』と。答えて『処を知る』と言えば、遣わして盗み取らせる。この人が言葉に随い、取って本処を離れた時(に罪となる)。
釈:また三種の他人の重物を取る方法があり、不可悔罪を犯す。一には自分で取る。二には他人に取らせる。三には人を派遣して代わりに取らせる。自分で取るとは、自分の手で物品を持ち上げ、元の所在していた場所から離すこと。他人に取らせるとは、もし優婆塞が他人に『彼の物品を盗め』と教える場合、教えられた人が自分の意のままに取り、物が元の所在していた場所を離れた時に、盗みとなったとみなされる。人を派遣して代わりに取らせるとは、派遣された人に『あの重物の所在を知っているか』と言う。派遣された人が『知っている』と言えば、そこで盗み取らせに行かせる。その人が自分の言葉に従い、物品を手に取って、物品を元の所在していた場所から離させた時に、盗み罪を犯したことになる。
原文:また五種あり。他人の重物を取り、不可悔罪を犯す。一には苦切って取る。二には軽慢に取る。三には詐って他者の名前を称して取る。四には強奪して取る。五には受寄せて取る。重物とは、もし五錢、あるいは五錢の価値のある物を指す。不可悔罪を犯す。
釈:また五種の他人の重物を盗み取る方法があり、不可悔罪を犯す。一には哀れんでいる、苦しんでいる、老弱病残のふりをして騙し取る。二には権力や勢いを以て高みに立ち、軽慢の心を含んで取る。三には虚偽の他人の名前を騙って取り立てる。四には強力を用いて奪い取る。五には他人から預かった物品を返さずに騙し取る。重物とは、もし五錢の価値、あるいは五錢の価値がある他の物品を指し、この基準に達すれば不可悔罪を犯す。
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