問:かつて心に恐怖や不安、焦りを感じる時、何かが起こりそうな予感がするものの、具体的に何が起こるか分からず、心が落ち着かないまま結果的に実際に出来事が発生しました。これは意根が事前に知っていたのでしょうか。
答:恐怖や不安、焦りなどの心理現象は意根の情緒的現れであり、意識に「良からぬことが起こりそうだ」と感じさせつつ、具体的な内容を把握できない状態です。意根は多くの事象を事前に感知し、ほぼ全てを理解していますが、自ら対応することはできず、ただ意識に警鐘を鳴らす役割を担っています。意識が事態を認識して初めて、計画や手配を開始できるのです。意根は発生し得る事態に焦慮しながらも、それを意識に伝達する適切な表現方法を知らず、結局事態発生後に意識が真相を知るも時既に遅く、手遅れとなる場合が多いのです。
時に夢の中で見る事象も、意根が懸念を抱きつつ意識に警鐘を鳴らし、処理を促す結果であり、後に実際に発生する現象です。これは意根の警醒作用、いわゆる予知夢と呼ばれるものです。意識は分析力と思考力を備え、問題解決策を考案し具体的な措置を講じ得ますが、意根自体に行動能力はありません。故に事態発生を予知した際、様々な方法で意識に警鐘を鳴らし注意を喚起するのです。意識が一旦その警告や暗示を受け止めれば、発生し得る事態を悟り、事前準備が可能となります。意根が知恵をもって意識に警鐘を鳴らせば、意識は容易にその警告を理解し得るでしょう。
予知夢とは、意根が意識に将来発生する事象を事前に知らせる現象です。意根は未だ起きていない未来の事象を感知し、未来に到達し得ます。何故かと言えば、如来蔵は業種に基づき過去・現在・未来の三界における事象を悉知し、意根は如来蔵の見る法に依拠して自らの見解を形成するからです。如来蔵が一切の法を見通すが故に、意根もまた一切の法を見通します。ただし両者の見る法の本質は異なります。
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