甲:戒・定・慧は修行の主軸であり、この三つを等しく保つことが偏りを捨てることに繋がります。
乙:如来蔵は本来、戒を持たず、定を修めず、慧も修めません。戒・定・慧は余分な言葉です。
甲:仏教を学ぶ目標は解脱を得ること、つまり世の一切の束縛から解き放たれることです。
乙:如来蔵は本来解脱しており、元より束縛されることはありません。
甲:禅定を具足して初めて悟りを証することができます。禅定をしっかり修めることが大切です。
乙:如来蔵は本来自分の内に禅定を具足しており、修める必要はありません。
甲:もし発心して出家修行すれば、煩悩を調伏しやすく、禅定も急速に成長します。
乙:如来蔵は本来出家の境地にあり、改めて出家する必要はありません。
甲:修行して仏道を成就するには三大阿僧祇劫を要します。
乙:如来蔵は本来仏であり、改めて成仏する必要はありません。
甲:自心をよく観察し、煩悩を調伏し、染汚を取り除きなさい。
乙:如来蔵は本来清浄であり、煩悩も染汚もありません。
甲:それでは、あなたはまだ修行する必要があるのですか?
乙:如来蔵は本来仏ですから、修行は必要ありません。
甲:今日、どうして離間語を吐いて戒を犯したのですか?
乙:これらは全て如来蔵がなしたことです。
甲:如来蔵の話は抜きにして、あなた自身のことを話しなさい。
乙:私は如来蔵に依り、如来蔵に転依します。
甲:どのようにして転依したのですか?
乙:·········
如来蔵:乙よ、私はあなたが私から生まれたということを非常に疑っている。なぜあなたには私の似たところが全くないのか? また、あなたは根本的に仏教を学び修行するつもりなどなく、ただ私の名を借りているだけで、自分では何もしようとしないのではないかと疑っている。私たちの間にはこれほどの差がある。私は自性清浄なのに、なぜあなたは煩悩が深く重いのか? 私は仏なのに、なぜあなたはまだ六道で苦しみもがいているのか? 私は解脱しているのに、なぜあなたは至る所で縛られているのか? 私は決して口による悪業を犯さないのに、なぜあなたはしばしば離間語・虚言・両舌・悪口を吐くのか? 私は常に定中にあるのに、なぜあなたは至る所で攀縁し心が散乱しているのか? 私は本来出家の境地にあるのに、なぜあなたは親縁を捨て愛着を断ち切り、世間の名声・利養・栄華富貴を放棄できないのか? 私は智慧を具足しているのに、なぜあなたはそれほど愚痴なのか?
乙:あなたさえ良ければそれで結構です。私はあなたに転依します。
如来蔵:口先だけの転依か? 気をつけなさい。再び三悪道に堕ちても、私は付き合わない。個人の業は個人が受けるもの。実の母親でも助けにならない。どうか自重しなさい。今後は私を引き合いに出すのはやめ、悪事を全て私のせいにするのもやめなさい。私はあなたの代わりに報いを受けることも、あなたの代わりに成仏することもない。
乙:··········
甲:如来蔵に頼っていれば万事うまくいくと思うな。やるべきことをやりなさい。怠けるのは無意味だ。近道などさらに存在しない。口先だけの禅語は業力と因果に敵わない。如来蔵の法は病を治す最上の良薬だが、あなたは弄ぶばかりで服用しない。それでは最早、治療する薬も無くなるだろう。
5
+1