仏法は世間法よりも厳密で厳重ではないとは

法律上においては、確たる証拠がなければ、殺人事件を立件することはできません。人が亡くなったと直感で感じていても、遺体が発見されなければ立件されず、犯人が特定できたと思えても、確固たる殺人証拠がなければ逮捕できません。刑法が求める証拠は具体的で明白なものであり、いかに正確な直感であれ、採用されることはありません。法律はこのように厳密かつ厳粛なものなのです。

しかし一部の仏法解釈はこれとは異なります。推論、想像、思惟、整理、帰納、琢磨、示唆——こうしたプロセスで得られたものを悟りの証しと称し、禅の修行によって得られたと説きます。証拠を求めれば推論が証拠となり、他者の暗示が証拠となり、思索を重ねるうちに証拠が生まれます。仏法は琢磨するのに難しくありません。論理的思考さえあればよく、厳密な思考ができればなお良く、厳密でなくとも構いません。想像力は誰にでも備わっており、すべてが計算に入れられます。結局、聖人の栄誉と名声こそが人を魅了し、追求に値するものであり、手段は二の次なのです。

論理的思考力を養いたい方は、刑事事件の捜査事例を研究し、哲学書を読み、心理学を学ぶことで思考が開けてくるでしょう。事件解決のプロセスは厳密な論理思考と証拠の裏付けによって成り立ちます。しかし証拠が不十分な場合、いかに論理的で厳密な推論であっても採用されません。論理思考は証拠収集の方向性を示しますが、証拠がない状況では、いかに完璧な論理構成も適用できず、冤罪を生む危険があります。

禅定中の意識作用が刑事事件の捜査のように厳密で慎重、論理的であるならば、意根が法義を思量する際に悟りがより透徹するのでしょうか。これは意識がどのような内容を思惟するかによります。意識思惟の役割は、意根が法義を思量する方向性と大まかな目標を示し、仏法の全体像と思想の脈絡を整理し、意根を参究状態に導くことにあります。意識は法義の細部まで思惟すべきではなく、それは意根が参究すべき領域です。最終的な答えは必ず意根の参究によって得られるべきです。意根と意識の作用は拮抗関係にあり、意識を多用すれば意根の働きは弱まり、意根の智慧は意識では代替できません。