山を移し海を埋める偉大な事業、砂を撒き石を運び、衆志城を成す。
高層ビルは雄大壮観、安居楽業に人生の栄華を極める。
天から見下ろせば、蟻が巣を作るが如く、群蟻協力して砂を運び土を搬ぶ。
巣は群居を成し、卵を抱き雛を孵すも、天災に毀たれれば巣を移して再び築く。
あなたの偉大さも、私の弱さも、劫を経てかくの如く、循環して止まぬ。
碌碌たる一生、ついに寂滅に帰す。振り返り望めば、果てしなき蒼穹。
衆情これに執着し、渾然として覚めず。迷い争うも、塵砂に過ぎず。
身は生まれ身は滅び、塵は幻、埃は亡ぶ。唯一変わらぬは、一握りの土にすら及ばぬ。
(注:
1. 佛教概念「劫」は「劫波(こうは)」の略だが、詩的表現のため「劫」のまま採用
2. 「塵幻埃亡」は「塵は幻、埃は亡ぶ」と解釈し直訳
3. 最終句「不如一土」を「一握りの土にすら及ばぬ」と比喩変換
4. 文体統一のため、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに調整(例:争ふ→争う)
5. 原文の段落構造・改行・空白を厳密に再現)
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