性空と空性の違い

空とは何か。空とは無であり、まずは無物・無法・無相・無心・無行などを表し、次に無所住・無所得などを表す。

性空の意味は、ある法の性質が空であることであり、無物・無法・無相・無心・無行であり、また無所住・無所得である。いかなる法の性質がこのように空であるか。八つの心体の中に求めねばならず、妄心の七識は無物・無法・無相ではあるが、しかし心があり、行いがあり、住処があり、得るものがあるため、性空ではない。如来蔵の性質こそが無物・無法・無相・無心・無行・無所住・無所得であり、心に一物も掛けず、一法にも執わず、心体には一切の法がなく、智も得もない。故に如来蔵は性空である。

性空は徳を表す。心が空であることが徳であり、世間で言う大徳とは、多くは空を証得し心が空無の状態にある得道者を指す。なぜ性空で心が空であることが徳なのか。空は最も力あるものであり、いかなる事物や道理も空に及ばず、空を打ち破れないからである。心が空であるならば、いったい何が空を超えられようか。ない。空は最高かつ最大のものであり、一切を超越し、全ての人事物は空と比べるべくもない。故に空は徳である。心が空の者は求めず、得るものなく、人天の供養に値し、人天の仰慕と尊敬を受けるに足る。

空性とは時に空の性質を指す。諸法の体性が空であるとは、ある法が空の性質を具え、その性質が空であり、一切の法に執着せず、何ものにも捉われないことを意味する。これは主に如来蔵心体の性質を指す。本体である如来蔵はまさにこの通りで、性も空なら相も空である。如来蔵は空性ではあるが、実体を有し、不生不滅の実相である。一方、七識の心性は不空に執着するが、その実質は空無の実体なく、生滅する虚相である。

空性は時に心体を指す。主語は省略された如来蔵であり、目的語が空性で、直接如来蔵本体を表す。例えば自性とは、古人が一般に不生不滅の本体識心である如来蔵を表す言葉で、独自の性用を有し、他法に左右されない。最も顕著な例が六祖が常に口にした自性という語である。一切の世俗法相と五蘊には自体性がなく、如来蔵性であり、その性質も空である。五蘊の相貌は如来蔵から生じ現れたもので、有るように見えても実はこれも空である。