真如が自性を守らざるは真如に自性無きに非ず

真如が自性を守らないという意味は、如来蔵が無所有の状態に常住せず、心体内の種子が流注して三界の万法を形成する有を生じることである。この真如とはすなわち如来蔵本体を指し、如来蔵本体は当然ながら世俗法の体性とは異なる独自の自性を有する。もし真如第八識如来蔵に自性がなければ、それは不自在の法であり、生じられた法である。生じられた法は全て不自在であり、単独の体性を持たない。単独の体性がなければ即ち不自在の法である。しかし真如第八識如来蔵は本来より存在し、因縁によって生じられたものではなく、永遠に独自の体性を保持し、永遠に変異しない。故に大自在なのである。

涅槃に自性がないという意味は、涅槃が如来蔵の清浄で独存の状態であるためであり、状態とは自体的な法ではなく、顕示法として如来蔵を引き立たせるものである。もし真如が如来蔵本体を指すのではなく、如来蔵の真実性・如如性という性質を指すならば、この真如には自性がなく、無自性となる。

真如が自性を守らないと言うならば、真如如来蔵には自性が存在し、それが空性であることを示す。しかし如来蔵は種子を蔵し不空性を有し、縁に随って万法を顕現するが、万法を顕現する際もなお空性を保ち、有性ではなく、それ自体は万法ではない。真如如来蔵が空性という自性を有するが故に万法を成就し得るのであり、もし空性という自性がなければ万法を成就できない。如来蔵が万法を成し得ないならば、それはただ真如如来蔵自体のみとなる。

如来蔵真如が如何なる法を顕現しようとも、常に本来の性質を保持している。黄金が本来の状態を守らず金細工の形状に変化する如く、黄金が如何なる金細工を制作しても常に黄金の属性と本体性を有する。真如は自性を有するが故に自性を守らないと言い、守らないこともまた有である。真如は本来空々として何も存在しないが、縁に随って一切の法を生じ、一切の法を生じる際もなお本来の性質を保持する。如来蔵は万法を生じたからといって如来蔵本体の属性を失わない。如来蔵本体の属性は永遠に変わらず、さもなければ如来蔵は不変異の法とは言えない。

如来蔵が縁に随いながら不変であり、不変でありながら縁に随うとは、如何なる因縁があろうとも自体が永遠に不変異であり、自性を有し、その自性が永遠に変わらないことを示す。第七識の遍計所執性、前六識の依他起性、如来蔵の円成実性という三種の自性は、全て無自性であり、如来蔵本体によって初めて存在し得る法である。