人体の筋肉活動は意識によるものか、意根によるものか

問：意根は直接に人間の神経システムを調整し、神経システムはまた直接に人間の筋肉収縮を制御している。このように見ると、人体の筋肉活動を調整する直接の操作者は七識であって、六識ではない。では、なぜ身行は意識の機能作用だと言うのでしょうか。

答：筋肉活動は神経システムの活動に属し、大脳中枢神経システムが命令を発した後の反応である。そして大脳中枢神経システムは意根によって調節されており、意根の選択が発動すると、大脳皮質が動き、中枢神経システムが命令を発し、身体の対応する神経システムに伝達され、筋肉収縮現象が生じる。身口意行は意根が主体となり指揮するが、具体的な運営は全て意識と五識が共同で完成させる必要がある。六識が正常に現起しなければ、身体は運行できなくなる。

神経システムの収縮と弛緩は、いずれも意根によって調節されており、また下意識の行為ではあるが、非常に隠微で微弱なものである。呼吸を含め、意識が関与する部分もあれば、意識を必要としない部分も多い。身体の移動は、意識がなければどうしても完成できない。微細な神経システム活動は意識を必要としないことがある。例えば、眠った後の身体の痙攣、まぶたのピクつき、わずかな身体の動きなどは意識を必要とせず、わずかな呼吸も意識を必要としない。しかし、意識は能動的に呼吸を調節することができる。例えば深呼吸などである。

肉体と密接に結びついた筋肉神経活動は、意根単独で調節可能であり、意識の協力を必要としない。意識が関与することもできるが、意根を導くことしかできず、全身を指揮することはできない。なぜなら、意根は単独で中枢神経システムを制御し、そこで命令を発し、指令を全身に伝達できるからである。意識が関与する神経活動は有意識行為と呼ばれ、意識が関与しないものは無意識行為と呼ばれる。例えば、呼吸活動、筋肉伸縮活動、大小便失禁、胃腸蠕動、気血運行、そして驚いて心臓がドキドキする、怒髪天を衝く、恐怖で失禁するといった特殊な情緒活動などは、いずれも意識の関与を必要とせず、意根単独で完成できる。一方、身根の運動活動は、必ず身識と意識が意根と共同で運行・調節しなければならない。