原文:この中にこのような相があることを知るべきである。阿羅漢たる比丘は、もろもろの漏を永遠に尽くし、五種の処所に習近することができない。一には、故意に衆生の生命を殺害しようと考えることができない。二には、与えられないものを取ることができない。三には、梵行ならざる行い、すなわち淫欲の法を行じることができない。四には、知りながら虚妄の語をなすことができない。五には、もろもろの欲を満たす資具を貯蔵し受用することができない。このようにして、苦楽を虚妄に計り、自ら作る、他が作る、自他ともに作る、あるいは自他でなく無因から生ずるなどと考えることもできない。また、一切の問うべからざる事柄を怖れることもできない。さらに、雲・雷電・霹靂・災雹(ひょう)を見、あるいは種々の怖るべき事象を目撃した後、深く驚き怖れることもない。
釈:あなたがたは知るべきである、阿羅漢の果を得ればこのような相貌が現れると。阿羅漢たる比丘はもろもろの煩悩の漏を永遠に滅し尽くし、もはや以下の五つのことを造作しない。一には、故意に衆生の生命を殺害しようと欲することができない。二には、相手の許しを得ずに自ら進んで相手の物を取ることができない。三には、清浄ならざる淫欲の行いを造作することができない。四には、明知しながら虚偽の言葉を発することができない。五には、すべての資生的需求を満たすための資具を貯蔵し享受することができない。阿羅漢はまた、苦楽が苦楽の自性によって作られたとか、大自在天によって作られたとか、苦楽の自性と大自在天が共同で作ったとか、あるいは苦楽の自性でも大自在天でもない無因から生じたなどと虚妄に計り執着することもできず、さらにまた、暗雲・雷鳴・霹靂・雹(ひょう)、および種々の恐怖事象に対して深く驚き恐怖を生じることもない。
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