原文:この智によって故に、無常を了知し、無常無辺際の勝解を発起す。かくの如く苦等を了知し、苦無辺際の勝解を発起し、空・無我無辺際の勝解、悪行無辺際の勝解、悪趣に往く無辺際の勝解、興衰無辺際の勝解、及び老病死愁悲憂苦、一切の擾悩無辺際の勝解を発起す。
釈:無辺際智あるが故に、諸行の無常を了知し、無常法に対する無辺際の勝解を発起す。かくの如く苦・空・無常・無我などを了知して、苦無辺際の勝解、空・無我無辺際の勝解、悪行無辺際の勝解、悪趣往趨無辺際の勝解、興衰無辺際の勝解、並びに老病死憂悲苦悩の一切の擾悩無辺際の勝解を発起せしむ。
原文:ここに無辺際というは、生死流転を謂う。かくの如き諸法は辺際無く、生死流転絶えざるに至る。乃至生死流転の絶えざるに、常に是の如き所説の諸法有り。唯だ生死の余すところ無く息滅する有るのみ。この息滅すべきものは、更に余の息滅方便無し。即ち是の如き諸有諸趣の死生法の中に於て、無願行・無所依行・深く厭逆する行を以て、勝解を発起し、精勤して勝解作意を修習す。
釈:無辺際の意味は、生死流転という諸法が辺際無く、生死流転が断絶しないことを指す。上に説かれた諸法は常に存在するが、唯だ生死のみが余すところ無く息滅し得る。この息滅可能なる法には、他に何らかの息滅方便は存在せず、即ちこれらの三有六道の死生法において、願いを求めず、依り所無く、深く厭逆する行いをもって勝解を発起し、精進して勝解作意を修習する。
0
+1