原文:故に現見増上作意に依りて、正しく比度すべきなり。いかに比度すべきか。謂く、彼の諸行は刹那の生滅あるを要し、滅壊して初めて前後の変異有り得る。かくの如く住するには変異有るを得ず。故に諸行には必ず刹那の生滅有るべし。彼彼の衆縁和合するが故に、かくの如く諸行生じ得。生じて已ちて滅壊を待たず、因縁自然に滅壊す。かくの如き所有の変異因縁は、能く諸行をして転変生起せしむ。
釈:されば現見増上作意に依って、正しく比量を起こし、色行の刹那生滅変異を知るべきなり。いかに比量すべきか。かくの如く認知すべし:諸行には必ず刹那の生滅あるを要し、色行滅壊してこそ初めて前後の変異を観察し得、常住不変のままにて変異を知るにあらず。故に諸行には必ず刹那の生滅あるべきと説く。衆多の因縁和合するが故に、これらの諸行出生し得。生じて已ちて諸行の滅壞を待たず、其の和合の因縁滅すれば、諸行自然に滅壊す。故に全ての諸行を変異せしむる因縁は、能く諸行を転変生起せしむと説く。
比度とは即ち比量なり。現量見の正比量に依ってこそ真実の結果有り。即ち比量の根拠は現量見にあり、是れ事実なり。比量の結果こそ事実たり得、然らずんば不正比量となり、比量の結果真実ならず、信頼に足らざるなり。
色行とは色法色蘊の運行なり。色行は現前・現量に可見と雖も、色法の刹那刹那の生滅変異は、禅定力と慧力足らざるが故に、現前に見ること能わず、現前如実に見る所の色行に依りて正比量を為すを要す。色法は不断に生滅滅壞するが故に、色法存在し顕現して初めて色行有り、前後の変異有りて初めて色行有り。若し色法変異せざれば行無く、則ち法存在せず。故に色行の刹那生滅変異は、現量見色の基礎に立つ正比量に依ってこそ、証知正知を得べし。
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