原文:諸々の変異行を現前に見る増上加意の力あるが故に。内外の事に於いて其の応く所に随って。変異行を以て一切を観察すれば是れ無常性なり。此の因縁に由って諸々の変異無常の性に於いて。現見に背かず。他縁によるに非ずして他に引かれたるに非ず。随念観察し審らかに諦めて決定す。即ち此の如き説く所の因縁に由って。現見増上加意と名づく。即ち此の如き現見増上加意の力あるが故に。変異無常の性を観察し終わりて後。彼の諸々の色行は現に有りと雖も。刹那生滅し。滅壊無常なり。而して微細なるが故に。現前に得る所に非ず。
釈:現前にこれらの絶えず変異する諸行を観察し得る増上加意の力あるが故に、内事と外事を観察すれば変異無常の性と相応じ、諸行の変異の角度より一切法が皆無常なることを観察する。此の因縁により、諸行の変異無常の性に対し、現前に観察し得て、其の変異無常性に背かず。現見の意味は現量にて見られることで、内外事一切法が無常性と相違せず、一切法の変異は他縁によるものではなく、外の因縁によって引き起こされたものではない。
内外一切法の無常性に対する観察と確認は、自らの増上加意の力に随って仔細に審査し、最終的に心に決定を得る。此の如き因縁あるが故に、現前観察を以て現見増上加意と説く。即ち此の如き現見増上加意の力あるが故に、諸行の変異無常の性を観察し終えた後、それら色行は現存するも、皆刹那生滅し滅壊無常の法なることを了知する。此等の法は甚だ微細なるが故に、現前に観察し得る所に非ざるなり。
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