原文:かくの如く、現前に見る増上なる作意の力によって、十五種の行を以て内事を観察し、種々変異無常の性を観ず。これを観じ終えて、更にまた十六の外事を観察し、種々変異無常の性を観ず。いかにして地事の変異無常の性を観察するや。謂わく、この地の方所を観見するに、先ず道場・天寺・宅舎・市廛・城壁等の事を建立せざりしが、後に新たに造り善く作り善く飾るを見、また他の時に彼の朽ち故に壊れ裂け、零落し頽毀し穿たれ缺くるを、火に焼かれ水に漂蕩せられるを見る。この事を見終えて、便ちかくの如きの念いをなす。『かくの如き諸行は、その性無常なり』と。何を以て故となすや。かくの如き色相の前後転変は、現に得べきが故なり。
釈:かくの如く、現量によって見られる増上なる作意の力によって、十五種の内事における種々の変異無常の性を観察し、その後更に十六種の外事における種々の変異無常の性を観察するのである。如何にして地事の変異無常の性を観察するのか。この地の所在する場所を観察するに、以前は道場・寺院・家屋・市場・城壁等が建立されていなかったが、後に新たにこれらの建造物が建てられ、更に時を経てそれらが老朽化し崩壊し、あるいは零落して荒廃し、あるいは火災で焼失し、あるいは洪水で流されるのを見る。これらの事象を観察した後、心にこのような念いが生じるのである。「かくの如き諸行は、その本性が実に無常である」と。何故そう言えるのか。その色相が前後で変化している様が、現前に観察できるからである。
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