瑜伽師地論 第三十四巻（八）

内外の事をこのように安立した後、さらにそれらの事を現に見るために増上させた作意の力によって、変異の行相をもって無常の性を尋思し観察する。ここにおいて内事には十五種の所作による変異があり、また八種の変異の因縁がある。内事にどのような十五種の所作による変異があるか。第一に分位による所作の変異。第二に顕色による所作の変異。第三に形色による所作の変異。第四に興衰による所作の変異。第五に支節の具足・不具足による所作の変異。第六に労苦による所作の変異。第七に他者からの損害による所作の変異。第八に寒熱による所作の変異。第九に威儀による所作の変異。第十に触対による所作の変異。第十一に雑染による所作の変異。

釈：これらの内外の事を安立した後、さらにそれらの事を現前せしめるために、法を見る作意の力を増強し、諸法の変異という角度から内外の事の無常性を尋思し観察する。内事には十五種の変異があり、八種の変異の因縁がある。内事の十五種の変異とは何か。第一は色身が異なる時期における分位の変異。第二は顕色に現れる変異、例えば肌色の白黒赤黄など。第三は形色に現れる変異、例えば背の高低や肥痩など。第四は色身の興衰に現れる変異、例えば力の有無など。第五は身根の肢節における変異、例えば手足の欠損など。

第六は労作に現れる変異、例えば疲労の有無など。第七は他者から損害を受けることによる変異、例えば虐げられ誹謗され名声を損なわれるなど。第八は寒熱に現れる変異、例えば発熱や悪寒など。第九は威儀進止に現れる変異、例えば色身のだらしなさや猫背、動作の不自由さなど。第十は接触対象における変異、例えば接する人事物の変化。第十一は雑染心による所作の変異、例えば善悪業の転換。第十二は身体の疾病による変異、元は健康であったものが病苦を生ずるなど。第十三は死における変異、生命の終了。第十四は死後身体に現れる青瘀膨脹の変異。第十五は死後屍体が消失し灰燼も跡形なくなる変異。