また八種の変異因縁がある。一に積時貯畜、二に他所損害、三に受用虧損、四に時節変異、五に火所焚焼、六に水所漂爛、七に風所鼓燥、八に異縁会遇である。
一の積時貯畜とは、色ある諸法は、良き所に安置守護されても、久しく時を経れば自然に壊敗し、その色衰損変異を得ることをいう。二の他所損害とは、種々の色法が他より種々に打たれ、種々に損害されれば、即ち種々の形色変異を生ずることをいう。三の受用虧損とは、各別に属主ある種々の色物が、受者の受用増上力によって損減変異することをいう。四の時節変異とは、秋冬の時には叢林薬草の華葉果などが萎黄零落し、春夏の時には枝葉華果が青翠繁茂することをいう。五の火所焚焼とは、大火が縦逸して村邑を焚焼し、国城王都ことごとく灰燼となることをいう。六の水所漂爛とは、大水が洪漫して村邑を漂蕩させ、国城王都ことごとく淪没することをいう。七の風所鼓燥とは、大風が飄扇して湿衣湿地や稼穡叢林を乾燥させ、日を経て枯槁することをいう。
八の異縁会遇とは、1楽受触に縁り楽受を受ける時に苦受触に遇うこと、2苦受触に縁り苦受を受ける時に楽受触に遇うこと、3不苦不楽受触に縁り不苦不楽受を受ける時に楽受触あるいは苦受触に遇うこと、4貪ある者が瞋に会遇すること、5貪纏の止息に縁り瞋纏を発起すること、6瞋痴ある者が異分煩悩の生縁に会遇すること(これらも同様に知るべき)、7眼識が正現在前する時に声香味触境などに会遇すること、これらを八種の変異因縁と名づける。一切の有色及び無色法の所有する変異は、皆この八種の因縁による。以上は浄信増上作意力をもって、内事十五種の無常性及び八種変異因縁の無常性を観行するものである。
内外一切法の無常性を観察確認するには、前述の浄信作意力による観行のほか、現見増上作意力による観行がある。『瑜伽師地論』に説く如く、このような前述の諸変異行を現見増上作意力によって、内外の事柄に応じて変異行を観察し、一切が無常性であることを知る。この因縁により諸変異の無常性を現見して背かず、他縁によらず、他に引かれず、随念観察して審諦に決定する。これ即ち現見増上作意と名づける所以である。現見とは現量所見を意味し、内外事一切法が無常性と相違せず、一切法の変異は他縁によって起こるのでなく、外在の因縁によって引起されるものでないことを示す。
この現見増上作意力によって変異無常性を観察した後、それら色行は現に刹那生滅・滅壊無常であるが、微細なるが故に現量では得難い。よって現見増上作意に依って正しく比度すべきである。如何に比度するか。それらの諸行には刹那生滅・滅壊があってこそ、前後の変異が得られる。この如く住するものに変異はあり得ない。故に諸行には必ず刹那生滅がなければならない。彼彼の衆縁和合あるが故に、如是の如く諸行は生じ、生じた後は滅壊因縁を待たず自然に滅壊する。この如き所有の変異因縁が諸行を転変生起させるのである。
(比度とは比量であり、現量見を正しく比度して初めて真実の結果を得る。即ち比度の根拠は現量見が事実であるからこそ、比度の結果も事実となり得る。さもなくば不正比度となり、結果は真実でなく信頼できない。)(色行とは色法色蘊の運行であり、色行は現前・現量で見られるが、色法の刹那生滅変異は禅定力と慧力が不足する故に現前して見えず、現前如実に見られる色行に依って正比度する必要がある。色法が不断に生滅滅壊するからこそ存在し顕現し、色行が生じ、前後変異があって色行が成り立つ。色法が変異しなければ行はなく、法は存在しない。故に色行の刹那生滅変異は現量見色を基盤に正比度して初めて証知できる。)
これは変異生起の因縁であって、諸行滅壊の因縁ではない。何故なら、それら諸行は世間現見の滅壊因縁と共に滅壊した後、後不相似の生起が得られるが、一切が全く生起しないわけではない。或る諸行は滅壊後、一切の生起が全く得られない。例えば水を煎じ尽くす如く、最後には一切が消尽する。災火が器世間を焚焼した後、灰燼さえも残らず、影すら得られない。これも因縁が後後展転して漸減尽き、最後には一切皆無となる。火がその如き事を為すのではない。故に変異は前述の八種因縁によって生起し、自然に滅壊するのである。(諸行生起の因縁は法の変異であって法の滅壊ではない。滅壊後は法も諸行もなく、諸行の滅壊も無常と苦を表す。)
この如き比度作意力によって、滅壊行を通じて諸行の刹那生滅・滅壊無常を決定する。この事を決定した後、さらに他世に現見されざる諸行の生起を正しく比度すべきである。如何に比度するか。諸有情には現に種々の差別がある。好い形色・悪い形色、上族姓・下族姓、富族姓・貧族姓、大宗葉・小宗葉、長寿命・短寿命、威厳ある者・なき者、利根・鈍根など、これら一切の有情の差別は、必ず業の差別によって成立する。業無くしてはあり得ない。かかる有情の色類差別は、必ず先世の善不善業が造作増長した種々の品類によるのである。(正比度とは已に心得決定した現見に基づき比量思惟するもので、現見に基づかぬ比量思惟は不正比度となり、智慧に属さず、正比度のみが智慧を得る。)
この如き比度増上作意力によって、他世における諸行生起を獲得決定する。前世と後世の五蘊の無常を観行する際には、現世における五蘊の如実現量観行を基盤とし、正比度によって前世後世の五蘊を観行し、証知を得なければならない。比度する二法は同類でなければならず、異類の法則は比度できない。現在の五蘊を如実現量観行することを基に、過去の五蘊と未来に現れる五蘊を正比度観行し、諸行無常を心得決定し確認するのである。
回向文:当ネットプラットフォームにおける一切の弘法と共修の功徳を、法界衆生に回向し、世界の民衆に回向する。世界の平和と戦争の消滅を祈願し、烽火起こらず干戈永く止み、一切の災難ことごとく消退せんことを。各国人民が団結互助し慈心をもって相対し、風雨順い国泰民安ならんことを。一切衆生が因果を深く信じ慈心をもって殺生を断ち、善縁を広く結び善業を修め、仏法を信じ学び善根を増長し、苦を知り集を断ち滅を慕い道を修め、悪趣の門を閉ざし涅槃の路を開かんことを。仏教が永く興隆し正法が永住し、三界の火宅を極楽の蓮邦となさんことを。
3
+1