衆生无边誓願度
煩悩无尽誓願断
法門無量誓願学
仏道無上誓願成

生如法師ウェブサイトロゴ

日常法話

2022年05月23日    月曜日     第1開示 合計3634開示

忍法善根と世間第一善根

『阿毘達磨倶舎論』第二十三巻(四)

原文:この頂の善根は、下品・中品・上品と次第に増長し、満ち成就する時に至って、忍法と名づく善根が生ず。四諦の理を能く忍可する中で、これが最勝なるが故に。またこの位の忍は退堕することがないが故に、忍法と名づく。この忍の善根の安足(初生)と増進は、皆法念住にあり、前のものとは別である。然るにこの忍法には下中上があり、下中二品は頂法と同じく、四聖諦の境を具足して観察し、及び能く十六行相を具足して修することを謂う。

釈:頂法の善根が下品から中品へ、更に中品から上品へと漸次に増長し、成熟円満に至った時、他の善根が生じ、忍法と名づけられる。苦集滅道の四聖諦の理を能く忍可する善根の中で、この忍法が最勝であるが故に、忍法と呼ばれる。またこの忍位はもはや退堕しないが故に、忍法と名づけられる。この忍法善根の最初の出生と漸次的な増進は、全て法念住を修する時に現れる。前三念住を修しても尚忍法善根は出生せず、忍法善根は雑修によって生じたものではない。これが前の暖と頂の善根との相違点である。この忍法善根もまた下中上三品に分かれ、下中二品は頂法と同じく、四聖諦の理を具足して観察し、及び能く十六行相を具足して修習する。

上文より知られるように、忍法善根は退転することはないが、暖法と頂法の善根は退転する可能性がある。すなわち、既に生じた順決択分が失われ、内心に順決択分が存在せず、もはや四聖諦の理に随順せず、五蘊が苦空無常無我であることを受け入れず、智慧が退堕する場合がある。その原因は様々で、あらゆる因縁が智慧の退堕を招き得る。業障が大きい者は、再び仏を信じ学ぶことをしなくなるかもしれない。しかし業障の関を過ぎた後、再び仏法を学び修行する勇気と信心が湧き起こり、暖法と頂法の善根を再び修得する可能性もあるが、忍法善根は決して退転することはない。

四種の善根は全て修慧に属し、修行によって得られる智慧である。故に聞慧と思慧は退堕する可能性があり、堅固ではない。修慧の前半部分もまた退堕する可能性があり、堅固ではない。修慧の後期に至って初めて智慧は堅固となり、退堕しなくなる。一旦見道を実証すれば、更に退堕することはない。禅定は退転する可能性があるが、見道の智慧は永遠に退かず、果位も退かない。三果に修至った時、初禅定は退転するかもしれず、永遠に保持し続けることはできないが、三果の解脱智慧と功徳は永遠に退かず、果位も退かない。見道以前は、禅定は退転しないかもしれないが、智慧は退堕する可能性がある。智慧が退堕すれば、善根もまた退転する。禅定の状態如何に関わらずである。

原文:上品は異なり、唯だ欲界の苦を観じ、世第一と隣接するが故に。この義に由って準えると、暖等の善根は皆能く三界の苦等を具縁することができる。その義は既に成立し、簡別すること無きが故に。謂わく、瑜伽師は色界・無色界に対し、対治道等、一一の聖諦について、行相の所縁が漸減し漸略し、乃至唯だ二念の作意のみ有り、欲界の苦聖諦境を思惟する。この以前を中忍位と名づく。この位より無間に勝れたる善根を起こし、一行一刹那を上品忍と名づく。この善根の起こりは相続せざるが故に。上品忍の無間に世第一法を生ず。

釈:忍法善根の上品は頂法と異なり、上品は唯だ欲界の苦を観察し、世間第一法と緊密に隣接する。この義理によって、暖・頂・忍等の善根が皆三界の苦等の四聖諦を具足して縁じ得ることが確定される。この義理が心中に既に確立されているのは、四聖諦を再び鑑別する必要がないからである。瑜伽行者が色界と無色界の修道の対治方法について、苦集滅道の各聖諦を縁とする行相が次第に減少・簡略化され、遂には唯だ二念の作意のみとなり、欲界の苦聖諦の境界を思惟するに至る。これ以前を中忍位と名づける。中忍位より無間断に更に殊勝な善根が生起し、各行各刹那を上品忍と呼ぶ。忍法が最初に生起する時、善根は相続しないが、上品忍に修至ると善根は無間断となり、この時に世間第一法が出生する。

原文:上品忍の如く、欲界の苦諦を縁とし、一行相を修し、唯一刹那なり。これ有漏なるが故に世間と名づけ、最勝なるが故に第一と名づく。この有漏法は世間の中で勝れたり。是の故に世第一法と名づく。士用の力有りて、同類の因を離れ、聖道を引き生ず。故に最勝と名づく。

釈:例えば上品忍は、欲界の苦聖諦を縁とし、十六種行相の中の一つの行相を修し、一刹那の時間で完成する。しかしこの善根は有漏であるが故に「世間」と名づけられ、世間の中で最も殊勝であるが故に「第一」と名づけられる。この有漏法は世間中最も殊勝であるため、世間第一法と言われる。この善根位における定慧の力は、修行者を世間の凡夫同類の因から離脱させ、道力を引き起こして聖道を証得せしめる。故にこの位を最勝第一と名づける。

回向文:我々のネットワークプラットフォームにおける全ての弘法と共修の功徳を以て、法界の一切衆生に回向し、世界の民衆に回向し、世界平和を祈願し、戦争起こらず、烽火興らず、干戈永く止み、一切の災難ことごとく消退せんことを! 各国人民の団結と互助を祈願し、慈心をもって相い向かい合い、風雨時に順い、国泰民安ならんことを! 一切衆生が因果を深く信じ、慈心をもって殺生せず、広く善縁を結び、広く善業を修め、仏を信じ学び、善根増長し、苦を知り集を断ち、滅を慕い道を修し、悪趣の門を閉ざし涅槃の路を開かんことを! 仏教の永き興隆と正法の永住を祈願し、三界の火宅を変じて極楽の蓮邦となさんことを!

——生如法師の開示
前へ前へ

金剛経第三品の真実義

次へ 次へ

離念霊知と意根の関係

ページトップへ戻る