問:回想は独頭意識に属し、第八識が種子を流注して刹那的に思い起こさせるものですが、なぜ意識は前世のことを了別して回想できないのでしょうか。
答:この世の意識心は、この世で新たに生じた意識心であり、前世の意識心ではありません。この世の意識心は前世の人事を経験していないため、当然前世の記憶はありません。もし前世の人事を了別できるなら、それは回想とは呼べず、自ら経験したことのみが回想と呼ばれます。前世のことを回想できるというのは方便的な説き方であり、これは意根を主体として、意根の立場から述べたものです。なぜなら意根は前世と後世をつなぐことができるからです。意識は段階的に区切られており、この世の意識が前世のことを了知するのは、厳密には回想ではなく間接的な了知です。神通力を持つ者が「我は往昔を憶う」と言う場合、この「我」は意根の我を指します。意根自体は回想できませんが、意根が意識の機能を執着して我とし、このように言葉を発するのです。この時、意識は意根を通じて自ら経験していない人事を了別しています。
前世の五陰と今世の五陰は非一非異の関係にあり、共通する部分もあれば異なる部分もあります。前世の五陰は今世の五陰の結果を考慮せずに悪業を造作したため、今世の五陰は前世の五陰が造作した悪業の苦果を受けるのです。前世と今世に関係はあるか?確かに関係があります!意根と第八識は前世から続く意根と第八識であり、習気や秉性も前世と同じで、冤親債主も同じままです。善業悪業の種子は常に携え続けています。今世でさらに悪業を造作すれば、後世の五陰が苦しみを受けることになり、それもまた自らの五陰が苦しむのであって、意根と第八識は苦しみを受けません。各自がよく自らを戒めるように。
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